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なんか文句ばかりの落さんに手渡された衣装は、銀ちゃんが吸血鬼、新八が狼男、神楽が番町皿屋敷の奴、私がキョンシーだ。顔の前の札が邪魔すぎる。


「んー、まァ前よりはマシになったヨ」


語尾カタコトだぞ。


「寺に吸血鬼ってどーよ?どーゆーセンス?」
『キョンシーもさ、中国じゃん』
「みんなバラバラアル。世界観一つに統一しろよなダメダメアル」
「お前らのさっきの格好は何が統一されてたんですかァ!?どこにセンスがあったんですか!!」


センスありまくりだったじゃん。


「いい加減にしてよホントもう!どこの世界に落ち武者とジェイソンが共演してる肝試しがあんだよ!」
「落さん、ジェイソンじゃないジャクソンです。俺のオリジナルだから」
「どーでもいいから!!お前のゴミクズみたいなプライドどーでもいいから!」
「落さんヤバイッス!お客さん来ました!!」


役員が慌ててしらせに来た。


「い゛っ!!もう!?まだ夕方だよ?」


お祭りではしゃぐってるんだろーね。


「もういいや!ぶっつけ本番だ!!とりあえず君達は寺の庭に!そこが肝試しの会場だから!」


武器持って行かなきゃ。


「それはいらねェェ!どれだけ殺る気満々なんだよ!」


武器は没収されてしまい、仕方なく私らは物陰へと隠れていると、親子が近づいて来るのが話し声でわかった。のはいいけどさ、隣で神楽が持つ皿がずーっとガチャガチャガチャガチャうっさい。


「お前、さっきから皿ガチャガチャうるせーよ。だからおいてこいって言ったろーが」
『持つにしたっても少し静かにできないわけ?』
「だってコレこんなに一杯あるネ。なにコレ、何に使うアル?」
「それアレだよ神楽ちゃん。番町皿屋敷。一枚二枚って数えていって九枚目で「一枚たりないうらめしやー」って襲いかかるんだよ」
「一枚二枚…たりないネ」
『そーそーそんな感じ』
「違うネ、ホントに一枚たりないヨ」
「ん?アレ、オイ、あそこに落ちてんの…」
「あっ!!」


道のど真ん中に、皿が落ちていた。よく割れなかったな。


「私とりに行ってくるアル!!」
「おちつけっつーの。隠れてるのバレるだろ」


話し声で既にバレてそーだけどね。


「だって元々一枚たりないのにまた一枚たりなかったら二枚もたりないヨ」
『もー「二枚たりないうらめしやー」でいいじゃん』
「いやアル。設定がグダグダネ!」
「ダメだって神楽ちゃん!!」


走り出そうとした神楽の足を新八が掴み止めて、神楽は顔から地面へダイブ。皿は盛大な音を立てて粉々に。あらら。


「お…お…お皿が」


神楽へと、息子が歩み寄った。そして、そっと神楽の前へと飴玉を一つ置くと、父親と手をつなぎ去っていった。


「お前は優しい子だな」
「だって、とってもカワイソーだったから」


ガキに同情されてるぞ…。


「ムフッ。飴玉もらっちゃったさー」


神楽は気にせず嬉しそうに飴玉食ってるけどさ。


「飴玉もらっちゃったさーじゃねーよ!!何哀れみうけてんのさー!」


戻ってくると何か落さんお怒り。カルシウム不足かな。


「ちょっとォ、ホント頼むよ!!スゴイグダグダっぷりだったよ!僕が友人の結婚式でやった出しものよりグダグダだったよ!」


それよりマトモだったと思う絶対。


「だってコレ皿がガチャガチャ身動きとりづらいネ。フリスビーか何かに変更してヨ」
「フリスビーが一枚二枚って一体どんな恨みをもった幽霊?」
『フリスビーで殴られて殺された幽霊』
「そんな奴いねーよ!」


真っ向から否定しやがった。


「仕方ない。どんなカンジでやるか次、僕が手本見せるからよく見ててよ」
「わかりました。じゃあ俺達その間喫茶店ででも時間潰してます」
「人の話きいてた!?」


きいてたよ。


「僕も伊達に毎年この行事に参加してるわけじゃないからね。去年なんて何人の女の子を泣かしたことか。まァ、技盗むつもりでしっかり見ててよ」


めんどくせー。

とりあえず隠れて次の客待ってると、やって来たのは女の二人組。一人は確か、お妙と同じ職場で働いてる奴だったか?もう一人は………。


「あ。落さんヤバイ」


お妙を見て、私らはすぐにそう思った。




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