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あー…なんか疲れた。全然映画見た気がしないんだけど…。


「『あ』」


銀ちゃん。


「なんだお前…ヤケに疲れた顔してんな…」
『そーいう銀ちゃんこそ…』


話を聞くと、銀ちゃんの方も多串君と定食屋で遭遇したとか。


『なんだろ…反吐が出るけど、思考が似てんのかなあいつと』
「ふざけたこと言うな。似てんじゃねーよ、あっちが真似してんだよ」


そーなるのか。


「あーあ。せっかくの休日になんだってこんなに疲れなきゃなんねーんだっつの」
『休日っつーか仕事がないだけだけどね』
「ちげーよ休日だよ。お…」


ん?お…健康ランド。


『いーねー温泉入りたいなァ』
「俺もひとっ風呂あびて癒されたい…いや待て。俺らが行こうとする所はまたあいつが来てんじゃねーか?」
『いやまさかァ…いや、どーだろ…』
「ここは逆に行きたくない所に行くべき…いやあいつのために行きたくもねー所に行くのは嫌だったので自分に素直に行きます…アレ?作文?」
『つまり行くのね』


そんな一日に二回も嫌な奴の顔なんて見ないよきっとたぶん。

家の狭っ苦しい風呂とは違う開放感溢れる大浴場で気持ち良く汗を流し、風呂上がりのフルーツ牛乳を飲んでいた時だった。


「ちょっと架珠さん」
『あ?』
「蒸し風呂の方、銀さんとなんか知り合いらしい男が占領しちゃって他の人が困ってんのよ。どーにかしてちょうだい」
『はァ?知り合いらしい男?』


受付のオバさんに言われて、多串君が思い浮かんだ。いや、そんなバカな…。

ーーーードガシャ.


「「「ぐえぶ!!」」」


蒸し風呂まで向かうと、ちょうど扉を破壊しながら銀ちゃんが転がり出て来た。


「いでででで」
「チッ。引き分けか」


おいホントに居たぞ多串君。つか、何してたんだよアンタらは蒸し風呂で。


「いや、オメーの方が絶対先に出てた」
「いや、オメーの方が」
『ねえ銀ちゃん』


声を掛けると気付いたらしい二人が振り向いた。


「あ、ちょーど良かった架珠。俺の方が後だよな?コイツが先に出てたよな?」
「んな身内の見解なんかアテになるか。どー見ても俺だろ。な?」
「な、じゃねーよ馴れ馴れしい。負け犬はすっこんでろ」
「あ゛?」


んなモン知るか。つーかさァ…。


『それ誰?』
「「ん」」


やっと気付いたらしい二人は、床に血を吐いて倒れる男を見下ろした。


「あり?」
「誰だコイツ…」


知らねーのかよ!!誰だよコイツ結局!?


next.

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