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携帯テレビを確認していると、定春は大江戸ドームの上にいた。花野アナが言うには、試合が中止になった場合の損害は飼い主が負担するとか。

ーーーーゴッ.


「冗談じゃねーぞ!!これ以上暴れられてたまるかァァ!!」
「キャバクラで貯めたお金が!!パパに買ってもらった家がパーになるぅぅ!!」


銀ちゃんと阿音は原付のタイヤを花野アナに直撃させながら走行。気持ちはわかるけどさ、あれ花野アナ死んだんじゃね?


「アレは飼い主!?巨悪巨大犬の飼い主です!!」


あ、生きてた。


「!!銀ちゃ…」
「うがァァァァ!!」
「あっ、定春ぅぅ!!」


掴んでいた尻尾を神楽が離すもんだから、定春がこっち目掛けて走ってきた。


「いい?私達があの子の覚醒を解く呪文を唱え終わるまで、時間を稼いで。一分…一分でいいわ」


一分ならなんとか…なるか?


「銀ちゃーん!!架珠ー!!定春を…定春をいじめないで!!」


ドームの上から神楽が叫んでいる。


「定春、苦しんでるヨ!!助けてって言ってたヨ!本当はこんな事したくないアルヨ!」


確かに…翻訳機で定春は助けを求めてたけど…。


「手加減なんかしちゃダメよ。殺す気でいきなさい。じゃないと死ぬわよ」


あ、定春来た…って!

ーーーードゴ.


「「『ぶごォ!!』」」


定春の前足が振り上げられて慌てて避けると、さっきまで私らがいた場所は大きくえぐれていた。

パンチの威力ハンパねェェ!


「無理無理無理ィィ!!こんなモン一分どころか十秒もつかァァァ!!」
『死ぬぅぅ!殺されるぅぅぅ!!』
「オイきいて…きいてねーし!!」


ピーヒャラピーヒャラ笛吹いてブツブツ唱えてっけど全然神聖にも何にも見えない。


「何あの人達ィ!!ホントッ、勝手な姉妹な!」
「オイぃ!それホントちゃんと呪文唱えてんのか!!ものっそい適当に見えんだけど!!ものっそい不安なんだけど!!」
「話しかけんなァァァ!もっかい最初からやり直しだろーがァァ!!」
「「『え゛え゛え゛え゛!!』」」
「ヤベッ、出だしなんだっけ?忘れた。ナンマイダ…違うな」
「腹立つぅぅ!!アイツら腹立つぅぅ!」


定春助かったらアイツらの髪ヘルメットみたいにしてやる!!


「ぐォォォォ!!」
「ぐおっ!!」


噛み付いて来た定春に私らは地面を転がって避ける。ホント、マジで早くして死ぬゥゥゥ!


「うわァァァァァ!!」


!新八!?


「新八ィィィ!!」


ーーーーガゴシ.


「銀さん!!」


新八に向かっていた定春の前足を、間に滑り込んだ銀ちゃんが木刀で防ぐ。それを見て鉄扇を構えると私は走り出した。


『定春ぅぅ!!おいたも大概に…』
「架珠!やめてェ!!」


高く飛躍して構えていた体が、ギクリと固まってしまった。神楽の声に、目の前にいる定春が、いつもの定春にしか見えなくて…。


「バッ…ボーッとすんな架珠!」
『!』


ーーーードカ.

銀ちゃんの声に反応した時には、私は定春に殴り飛ばされていた。


「架珠!!」


next.

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