×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


キャラクターはシルエットだけで読者に見分けがつくように描き分けよう




「そーかィ。あのチャイナ娘、ホントに星に帰っちまったのか」
「…ええ」


スナックお登勢で、お登勢さんと来ていたマダオに神楽について新八が話した。


「僕も止めたんだけど…銀さんが、やっぱり親の元にいるのが一番いいって」
「そーさな。こんな根無し草共の所にいるよりはマシだわな」
『マダオに言われたくない』
「フン。うるさいガキだったけど、いなくなったらいなくなったでさびしいものがあるね」


静まり返った店内に、厠から銀ちゃんが戻ってきた。


「あーーーー。なんでこんな事になっちまったかな」
『なに?どーかした?』


顔を片手で覆い、悲観したように言った銀ちゃんに首を傾げる。


「やべーよオイ。やっぱあきらかに腫れてるみたいなんだけど、大事なとこが」


神楽が帰って寂しいのかと思ったけど、斜め上ってかあらぬ方向の話題だった。


「え〜〜〜汚い手でさわったんじゃないスかアンタ」
「お前と一緒にするな。年幾つだと思ってんだ」
「病気か?誰かにうつされたかオイ」
「お前と一緒にするな。危ない橋は俺は渡らねー」
『気のせいなんじゃ?元々そういう大きさだったとか』
「違ーよ。アイツはもっとこう謙虚な奴だったよ」
「どっかでミミズに小便でもひっかけてきたんじゃないかィ?腫れるっていうよね」
「何言っちゃってんの。迷信だろそんなの」
『そういや銀ちゃん、ミミズっぽいえいりあんに小便したよね』
「!!」


ハッと銀ちゃんの目が見開かれる。


「エイリアンニ小便カケタンデスカ?ア〜〜〜アモウダメダソリャ。私ノ友達ソレヤッテ今ハ星ニナリマシタ」
「え?星になっちゃったの。何それ?どーなるの俺?俺っていうかもう一人の俺」


ご愁傷様って奴だね。

ーーーーガララ.


「こんばんは〜」
『あーお妙』
「姉上なんですかその格好?」


やって来たお妙はなぜかチャイナ服だった。


「ああ、今私の店チャイナ娘強化月間で、みんはチャイナ服着て仕事してるのよ」
「チャイナ娘強化月間ってなんですか?何が強化されるんですか?」
「男の妄想よ」


なるほど。


「どーかしら銀さん?」
「ヤベーよこの年で星になっちゃうの俺いやだよ」
『あー今なに話しても無駄みたい』
「理由はきくな」


私とマダオが言うと、お妙はあっと口元を押さえた。


「まァ、そんなに神楽ちゃんのこと…御免なさい、思い出させるような事して」
『それよりお妙、その持ってんの何?』
「ああ、これですか?神楽ちゃんがいなくなったってきいたものだから、みんなさびしがってると思って持ってきたんです」


ガサガサとお妙が紙包みを解く。


「こーゆう時はコレ、飲んで忘れましょ」


ダン、とカウンターにお妙が置いたのは酒瓶。


「うおっ、コレ高い酒だよどーしたの?」
「お店からパク…もらってきたんです〜〜」
『さすがお妙〜!』


嬉しくてお妙とハイタッチする。高い酒は美味いもんだよ。


「忘れることで前に進めることだってあるでしょ。嫌なことはアルコールと一緒に流しましょう。ねっ、銀さん」


あ、嫌なことになっちゃった。まいっか。

お妙についでもらった酒を飲むと、やっぱり美味い。


「いや無理だろコレ。だって常に俺の股にぶらさがってるわけだからね」
『その話じゃねーよ』
「まァ、アイツだったら元気にやってくさ。生きてりゃまた会えるよ」
「どーぞ」
「あ、スンマセン」
「私的ニハイナクナッテ清々シテマース。前カラ私トキャラガカブッテル思ッテマシタ。カワイラシイ外人キャラミタイナ」
「いやお前かわいくねーから」


即答したマダオにキャサリンはガンつけてたけど、マダオに同意。


「私はやっぱりさみしい」


隣でお妙が言う。


「なんだかいつの間にか妹みたいに思ってたから。私ね、昔から妹がほしくて。新ちゃんが小さい頃、無理矢理女の子の格好させて、よく父上に怒られたものだわ。ねっ?新ちゃん」
「お前の母ちゃん何人だ〜」


きいてねーや。そして相変わらずの音痴。


「…なのに、どうして先に逝ってしまったの父上様ァァ!!」
『よしよしお妙。ほら、かなしいことは飲んで紛らわせ』
「俺的にはこの辺で評判の泌尿器科とかない?」
「アレ…三丁目のタバコ屋の前の病院。あそこの泌尿器科美人女医がやってるらしいよ」
「マジでか。腫れが悪化するぞオイ」
「大体今時口癖が「アル」のチャイナ娘なんて古ーんだよ!あれ絶対キャラつくってるぜ〜絶対標準語ペラペラだよ〜!」
「オイ、カタカナでカタコトしゃべるの忘れてるぞ」
「あっ、ヤベッ!!」


キャサリンキャラつくってたのかィィィ。


「ちょっと!キャサリンさん、あなたさっきからきいてればいい加減にしなさいよ!死んだ人のことを悪く言うなんて最低よ!」
『そーだよキャサリン!お前枕元に立った神楽に猫耳食いちぎられろ!』


神楽死んでないけどな!


「私に言わせりゃね、アナタの全文カタカナも古いのよ!!読み難いのよ!!」
『携帯で打つ時面倒くせーんだよ!!予測変換ダルいんだよ!!』
「『ねっ、新ちゃん!』」
「お前の母ちゃん何人だぁぁぁっ!!」


ちょっとは聞けやゴラァ!


「女医ってどんなカンジだろう。いっちゃおーかな〜どうしようかな〜」
「とにもかくにもさァ、アンタらこれからどーするつもりなのさ。三人で万事屋やってくつもりなのかィ?」


えー?


「あん?別に何人だろーとやれねーことはねーだろ。元は俺とこいつの二人でやってたんだから」
「いやいやそーゆんじゃなくて。実はさァ、前に万事屋に入りたいって奴がウチに来て、私を経営者と間違ったかしらんが、履歴書と写真おいてったんだよ」


で、お登勢さんから手渡された履歴書には、左半分に豪華な着物きた女が写っていた。


「…履歴書っていうかお見合い写真じゃねーのコレ?」
「アラ、キレイな女性」


…なんか、見覚えあるような。


「猿飛あやめ。経歴がスゴイわ、お庭番衆を辞した後殺し屋に転職ですって」
「殺し屋?ん」


ぶらんと垂れ下がる長い髪。


「うぉああああ!!くせ者!くせ者だァ!!何奴じゃ貴様!!」


見上げると電気カバーに足ひっかけた女がいた。


「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色…ヒロイン交代の理をあらはす。こんばんは、万事屋さっちゃんです」


あ、さっちゃん。そーだあの写真の女さっちゃんだ。メガネなかったから別人に見えた。

てゆーか…。


『ヒロイン交代ってなに?このサイトにおけるヒロインは私だよ!』
「あら、あなたヒロインだったの?ごめんなさい。ヒロインたるオーラも要素も皆無でわからなかったわ」
『んだとォォォォ!!』
「強くて小さくて胸があればいいってもんじゃないのよヒロインは。わかる?これからはコレよ」


あ?


「これからはメガネっ娘くの一…アレ?くの一メガネ…ん?メガくの一。あっ、これでいこう。91メガの時代なのよ!!あっ、間違った」
『グダグダじゃねーか!!91メガとかいらんから帰れ!』
「あなたには聞いてないわ。あの…銀さん、私をあの、お嫁さんに…じゃねーや、万事屋に入れてく…」


何こいつ銀ちゃんに惚れてんの?物好きな。


「眼鏡は新八とかぶるからダメだ」


その断り方なんだ酔っ払い。


「チームは集団だからこそ個性が必要なんだよ。個性を出す一番いい方法はコレ、ぶっちゃけ見た目なんだよね。それがかぶっちゃってるなんて言語道断でしょ。髪形も架珠と微妙に似ちゃってるし、例えばそうだね、モヒカンにするとか?あとデカイ武器をもってるとか。シルエットだけで違いがわかるようにして、もう一回来てみて」


漫画の編集者みたいなこと言いやがったよ。

ーーーーバキッ.


「これなら文句ないでしょ。これで気がすんだ?そうやって私をなぶって楽しんでるんだろう。けど私Mだから。私も楽しんでるから。私はMであなたはSで他にはもう何もいらないじゃない」
「悪ィな。どっちかっつーと俺もMだ」


さっちゃんそれマダオ。メガネ割ってまで?

ーーーーガシ.


「!」
「コルァァァァ小娘ェェ!さっきからだまってきいてりゃイキナリ出てきてヒロインヅラかァ!?ここはそんな甘い世界じゃねんだよ!」
「いだだだだ!」


さっちゃんの髪を鷲掴むキャサリン。


「てめー何話から出てるかしらねーけどな、アタイはてめーが登場するはるか前、四話からもう出てんだよォ!!この漫画のヒロインもこのサイトの顔もあたいなんだよォォ!!」
『私含めたこのサイトのヒロイン達に全身刺されろキャサリン』


切実なる願い。


「全く猫耳を役立ててないオバさんがだまりなさいよ。その耳がね、私についていれば忍者・眼鏡・猫耳、萌え三種の神器が揃うのよ」
「このギャップがいいんだろーが!猫耳なのにオバさんっていう」


ギャップ萌えも狙えないギャップだな。


「いい加減にしなさい二人とも!こんな所神楽ちゃんがもし見たらどんな気持ちになると思っているの!!ちなみに私は一話から出てるアルけどねv」


アレ?お妙?アルって…まさかヒロイン狙ってる?

なんか私をおいてヒロインは自分アピール始めたよ…ちょっと、ヒロインは私だってば。


『ねえちょっと、銀ちゃん達も見てないで何か言いなよ。ヒロインは私だよね?』
「わかったわかった。おーい」
「おいちょっとおちつけ」


言い争っていた三人が振り向く。


「このままじゃいつまでたっても決まらねェ。俺達男の意見をとり入れろ」


は?


「俺達野郎からしてみれば、ヒロインってのは満たさなきゃならねー三大条件ってのがある。それは…」
「顔」
「体」
「性格」


んだそれ。


『おいコラ!ヒロインは私だって言って…』
「確かにこのサイトにおけるヒロインはお前かもしんねーがな、今ここでヒロインの座を勝ちとれねーよーな奴はヒロインと名乗る資格はねェ。グダグダ言ってねーでさっさと並べ」
『なんでだよ!』
「とりあえずお前は故国に帰れ」
「しばくぞ」


キャサリンは論外。渋々ながらも私も二人と並ぶ。


「問題は三人だ。まァツラはイイとして、スタイルだ。これはヒロインたるからにはボン!キュッ!ボン!出るトコ出て締まるトコは締まったエロい身体がイイ」


親父の独断じゃねーか。


「それでだ。三人を見比べたところ」


ヒップ、ウエスト…。


「ボォォォォォォン!!」


ーーーーゴガシャン.

最後にバスト、の前にマダオの顎にお妙の右ストレートが炸裂して、扉を破壊しながらマダオは吹き飛んだ。


「……………三人とも合格」


寝ている新八の隣で冷や汗ダラダラの銀ちゃんに、私らは歩み寄る。


「最後は…あの…あれ…性格…だっけ?あの…でも、三人とも完璧だから…勝負つかないな〜コレ」


あ゛?


「決着つけるアルァー、コルァ」
「あなた達が言い出したことでしょメガネバッズーカー」
『責任とって決めろや、あ゛あ!?』


バキボキと指を鳴らす私ら。


「しっ…新八君…起きて新八君。性格は君が提案したんだから、君が審査して」
「んーーーー………………ヒロイン?ヒロインは…」


へらりと、だらしなくしゃっくりしながら新八は言った。


「お通ちゃん。お通ちゃんがいいれす」


顔を見合わせた私らのやることは決まっていた。

ーーーーガシャァァン.

二人は店先に吹っ飛んだ。


「土手来い。決着つけるぞアル」
「上等よニンニン」


雑草と、二人は去って行った。決着ついたってヒロインは私だよ……って…。

思わず私は、目を瞬かせてしまった。


「ぎっ…銀さん」
「なーに」
「ホント、僕らの周りには…なんでロクな女の人がいないんですかね」
「そーだな」
『ロクな女じゃなくて悪かったね』


腕組みして二人を見下ろす。


『まあ、確かに神楽もロクな女じゃなかったね』


ニッと笑えば、新八はため息して銀ちゃん同様空を見上げた。


「やっぱり…なんやかんやで、神楽ちゃんが一番僕らにあってましたよね」
「………そーだな」
「なんだィアンタら、情けない。帰れって言っておいてもうさびしくなったのかィ」


目をそらしたり、鼻ほじったり。分かり易いねェ全く。


「……フン。これだから男ってのは勝手でいやなんだ」
『嫌になるねぇ〜。ほら、お前もなんか言ってやれ』


お登勢さんと二人、店内のカウンターへと顔を向ける。カウンター席でご飯を食べる神楽に、銀ちゃんと新八は目を見開いた。


「ボンキュッボンでなくて悪かったアルな」
「「おっ…」」
「あーあーもう言うな。何も言うな。お前らにあわせられるのなんて私だけね。ヒロインは私アル」
『マスコットの間違いでしょ』


ニヤニヤと笑えば、ムッと睨む神楽。顔を見合わせていた銀ちゃんと新八は、おかしそうに笑っていた。


「そりゃあ違いねェや」
「早く入りな。飲み直しだよ」


next.

back