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みみずにおしっこかけると腫れるよ




「定春、散歩の時間だ」


驚く周りに構わず、溢れかえるように目前へと迫るえいりあんの一部へと定春に乗って突き進む。


「今日はどこでクソたれようがじゃれようが自由だよ。めいっぱい暴れな」


銀ちゃんと二人、武器を構える。


「『いくぜェェェ!!』」


ーーーーバグン.


「『あり?』」


目の前真っ暗。あれ?もしかして食われた?え?マジで?あれ?


「え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」
「呑みこまれたァァ!!散々カッコつけて呑まれちゃったよオイぃぃ!何しにきたんだァァ!?」


いや神楽助けに。まさか食われるとは思わなかったけど。あんなキメて行ってる最中にマジないわ。銀ちゃんと恥ずかしいね。穴があったら入りたいね……あ、もう穴に入ってるようなもんか。なんて阿呆らしい会話しながら、とにかく中心に着けばいいとガムシャラに武器振るって進撃すれば、神楽の親父の声が聞こえた。


「神楽ァァァァ!!」


ーーーーゴパッ.

声を頼りにえいりあんを突き破り、閉鎖的な体内から外へと脱出。目の前には、えいりあんに捕まる神楽の姿が。あの神楽が簡単に捕まるわけない。きっと戦ってるうちに怪我か何かしたんだ。


「『神楽ァァァァァ!!』」


なんとか意識はある様子の神楽へと、私も銀ちゃんもこれでもかと手を伸ばした。神楽の口元が僅かに動いたけれど聞こえない。でも、神楽は目に涙を浮かべて確かに笑ったんだ。力を振り絞って伸ばされた神楽の手に、私らの手は届かなかった。

ーーーーバッ.


「『ふんごォォォ!!』」


だからって諦めたりしないけどさ!飛躍した私らは定春からえいりあんへと飛び移る。近くで見ると益々気持ち悪いな。


「こんのミミズ野郎ォ!!そいつを離せェェ!!小便かけんぞォ!!甘ーい小便かけんぞ!」
『甘い小便ってなんだよ!』
「そんな事したらなァァ…大事なところがはれあがるぞォォ!!」


ん?


「母ちゃんに習わなかったのかァ!!」


ぎゃあああ!!いきなり傘ぶっさして来んなよ!ビビったじゃねーかァ!


「よォ、今さら何をしに来た若造…どのツラさげてここに来れたんだてめーらは?」


親父は私らと同じようにえいりあんにしがみつく。


「祭り事が好きでねェ。火事と喧嘩とえいりあんは江戸の華ってなしらねーかィ?」
『年老いた頭のパピーにはそういう常識理解できないかな』
「神楽ちゃん以外がパピーと呼ぶんじゃねェェェ!えいりあん以上に不快な野郎共だ失せやがれ!!」
「うるせェェお前腕とれてるぞォ病院いけェェ!!」
『怪我人は大人しく病院にすっこんでろ!!』
「お前らが行けェ!!カゼをひけェ、お前らはカゼをこじらせろ!」
『お前がこじらせろォ!!』
「学校を二、三日休んで休みあけにちやほやされろ!お前みたいな奴は!」


なんか爆発音や破壊音が響くけどそんな中でも構わず口論を繰り広げながら神楽のもとまでジャックと豆の木のごとく登って行く。つーか親父うるさいな。


「だーからお前は早く帰れって!病院いって早く腕にマイナスドライバーつけてこい!」
「誰がつけるかァァァ!お前、マイナスなんてあんまり使わねーじゃねーか。どっちかっていうとプラスがいい!大体腕の一本や二本で病院なんざ!元々義手なんだよ俺の左腕は!」
『どーせまた作ってもらうんだろ!今すぐいってプラスだろーがマイナスだろーがイコールだろーがつけてもらえハーゲ!』
「ハゲてねーよどこ見てんだバーカ!イコールドライバーなんて聞いた事ねえよプラスがいいっつってんだろ!」
「ついでに頭もつくってもらえ、すだれジジイ!」


くだらない口論いつまでも続けてたのが悪いのかな。


「「『ん?』」」


ふと気配を感じて振り向くと、えいりあんの牙に囲まれていた。え。


「「『うおわァァァァァ!!』」」

向かって来た牙に口論なんてさすがにしていられない。傘や木刀や鉄扇を振るって、行手を阻むえいりあんを蹴散らす。


「「どけェェェ!!小便かけんぞォォ!!」」


ガチでしたらお前らの息の根止めてやるからな。密かに決意して目を血走らせる二人に続いた。


next.

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