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タイトルだけじゃ映画の面白さはわかんない




「えいりあん?しらねーな、お菓子屋みたいな名前しやがって。栄利庵か?あん?」


グラサンにオールバックでヤクザちっくにコスプレした銀ちゃんと、えいりあんちっくな着ぐるみ着た定春が対峙する。


「いっとくけどよォー、地球はてめーらなんかに渡さねーから。地球はわしらやくざのもんじゃーい!!」
「ワン」


いや、まあ…うん。喋れないから仕方ないか。


「なんだとう。お前、そんな事を…あの、アレ…ひどいぞー。お前、アレだぞ、そんなことしたらあの…ダメだぞォォ!!」


踏み出した銀ちゃんと定春が一時停止したのを見てマイクを構える。


『かくして、えいりあんとやくざ、地球の存亡を懸けた戦いが今、始まるわけでございます。はたして地球の運命は?続きはぜひ劇場の方で…』
「ってくるかァァァァ!!誰が来るかァァァこんな呼び込みで!!何このグダグダ感!」


様子を見ていたマダオが怒鳴っているが、私らは微動だに動かずじっとする。


「だから打ち合わせちゃんときけっていったんだよ。ダメだぞォーってなんだ?ダメなのはお前達さ!!っていつまで一時停止してんだもういいんだよ!!ナレーターまでする必要ねーだろ、どーでもいいトコだけマジメだな!!」


いい感じに一時停止してやったのになんだよ。


「ったく、せっかく人が仕事まわしてやったってのによォ。もういいからお前らだまって旗もって立ってろ」


ーーーーぶりぶり.


「定春くんケツの方も無言で頼む」


あーあー。そして凄い臭いと量だよ、更に客足遠のいたんじゃね?


「ちょっとちょっと長谷川さん。社長が呼んでるけど」
「えっ…ウソ、ヤベ…結果出さねーと即クビって言ってたからな」
「呼び込みなんてやっても今日は無駄だよ。ちょっとこっち来な。わざわざつくりモンのえいりあんなんか見にこなくてもさァ、ホラ、本物のえいりあんが大騒ぎ起こしてんだから」


掃除のオバちゃんに呼ばれて中に入ると、テレビの前に人集り。テレビを見ると、ターミナルが映っており悲鳴も聞こえる。


「オイオイなんだこりゃ、ターミナルか?」
「なんか船にでっかいえいりあんがとりついて事故起こしたらしいよ」


だからなんか煙あがってんのか。


《おーい、もっとカメラ寄れないのか!?えー、みなさん見えますでしょうか?謎の生物によって、現在一隻の船がターミナル内で事故を起こし、機体の一部が壁面からつき出た状態です。一体中はどうなっているのでしょう。乗客の安否が気づかわれます!》
「いや〜恐いわァ〜」
《それにしても、あの禍々しい生物は一体何なのでしょう?ん…アレ、ちょっ…人影?》


……は…?ズームアップした画面に映った光景に、私も銀ちゃんも目を見張らせた。


《間違いない人です!人が!えっ…女の子!?なっ…なんということでしょう、少女が!一人の少女が船の甲板で謎の生物を相手に、アレは戦っているんですか!?信じられません、人間なんでしょうか!?》


暴れるえいりあんに身軽な動きで攻撃するのは、神楽だった。


「オ…オイ、銀さん架珠さん、アレ」


マダオには一言も声をかけずに二人して走り出す。そんな余裕なかったんだもん。一度突き放した癖に何やってんだかって感じだけどさ、あんなの見ちゃったら放っておけないくらいには、私も銀ちゃんもアイツを気にかけているんだ。


「旦那ァ!?お嬢ォ!?」
「お前ら何…!?」


定春の背に跨りターミナルまで突っ切って来ると、真選組の奴らやリポーターやカメラマンが集まっていた。多分逃げて来てたんだろうけど。


『あ、これカメラ?これカメラ?銀ちゃん、マダオの為に』
「そうだな。えーと、映画、えいりあんVSやくざ絶賛上映中。見にきてネ」


ーーーーダッ.


「なんだァァァァァァ!!あの謎の二人組はァァァ!!ちょっとォォ、あぶないですって」


騒ぎの中心、えいりあんへと突っ込む。とりあえずマダオ、コンビニ潰しちゃった件と今日の件はこの宣伝で許してね。全国放送で宣伝したから一人くらい来るっしょ。まさかクビになったとか言わないでね。


next.

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