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「余のペットがの〜いなくなってしまったのじゃ。探し出して捕らえてくれんかのォ」


――――ザッ


「オイィィィィ!!ちょっと待てェェェ!!」


麻呂顔に額から触覚の生えた紫の物体を見た私らは回れ右して帰ろうとしたのだが、それをオッさんが止めてきた。


「君ら万事屋だろ?何でもやる万事屋だろ?いや、わかるよ!わかるけどやって!頼むからやって!」


必死に止めるオッさんウザい。


「うるせーな。グラサン叩き割るぞうすらハゲ」
『触覚引っこ抜くぞ麻呂顔』
「ああ、ハゲでいい!!触覚引っこ抜くのはダメだがハゲでいいからやってくれる!!ヤバいんだよ。あそこの国からは色々金とかも借りてるから幕府(うち)」
『知らねーよ。そちらの問題でしょ』
「ペットぐらいで滅ぶ国なら滅んだ方がいいわ」


ホントホント。


「ペットぐらいとはなんじゃ。ペスは余の家族も同然ぞ」
「『だったらテメーで探してくださいバカ皇子』」
「オイィィィィ!!バカだけど皇子だから!!皇子なの!!」
「アンタまる聞こえですよ。大体そんな問題アナタ達だけで解決できるでしょ」
『そーそ』
「いや、それがダメなんだ」


なんでさ。


「だってペットっつっても…」


――――――ズズン

うお!?なになになに!!

大きな地響きがしたと思えば、ホテル桜が崩壊した。


「おおーペスじゃ!!ペスが余の元に帰って来てくれたぞよ!!誰か、捕まえてたもれ!!」
『…………』


ふざけんなバカ皇子ィィィ!!


「ペスゥゥゥ!?ウソぉぉぉぉ!!」
「だから言ったじゃん!!だから言ったじゃん!!」


現れたペットのペスとやらは象も真っ青の巨大なベースはタコのえいりあん。

うっわ気色悪っ!


「あっ!!テレビで暴れてた謎の生物ってコレ!?こんなんどーやって捕まえろってんスか!!」
『てかどーやって飼ってたの』
「ペスはの〜、秘境の星で発見した未確認生物でな。余に懐いてしまったゆえ船で牽引してつれて帰ったのじゃふァ!!」
「全然懐いてないじゃないスか!!」


バカ皇子はペスに吹っ飛ばされてしまった。今までよく死ななかったなアイツ。


「!!ヤバイ、また市街地に出る!」


んなのさせやしないよ。

――――ザシッ.


「銀さん!!架珠さん!!」


私と銀ちゃんはペスの前に立ちはだかった。


「新八、しょう油買ってこい。今日の晩ごはんはタコの刺身だ」
『んでもって朝飯はたこ焼きだよ』


そんじゃ…。


「『いただきまーす!!』」
「させるかァァ!!」
「『!!』」


――――ゴン!!


『いでェェ!!』
「何しやがんだ!!架珠、脳ミソ出てない?コレ」
『知るかむしろ私が出てるわコレ!!』


走り出した私らの足にオッさんがスライディングしてズッコかされた。そのせいで二人しておもっくそ頭地面にうちつけた。


「手ェ出しちゃダメだ!無傷で捕まえろって皇子に言われてんだ!!」
『無傷ゥ!?』
「できるかそんなん!!」
「それを何とかしてもらおうとアンタら呼んだの!」
「無理無理!無理だって!!」


あんな最早化け物のえいりあん、無傷とか絶対無理!!死ぬよ私ら!


「うわァァァァ!!」
「!!新八ィィ!!」


悲鳴に見ると新八がタコの触手の餌食にあってた。捕まんないでよメンドーなッ!!


「ちっ」


――――ガチャ


『銀ちゃん!』


ペスに捕まった新八を助けようと走り出した銀ちゃんが急に止まったからどーしたのかと思うと、オッさんに銃口を突きつけられていた。


「勝手なマネするなって言ってるでしょ。姉ちゃんも、動けばコイツの頭ぶち抜くよ」
『アンタねェ…』
「うわァァァ助けてェェ」
「無傷で捕獲なんざ不可能なのは百も承知だよ。多少の犠牲が出なきゃバカ皇子はわかんないんだって」
「ちょっとォ!!きいてんの!?」


煩い新八。もうちょい踏ん張っとけ。


「アレの処分許可得るためにウチの助手エサにするってか」
『アンタら、ホントに腐っちゃってんのね』
「言ったろ。俺達は奴等と共生していくしかないんだってば。腐ってよーが俺は俺のやり方で国を護らしてもらう。それが俺なりの武士道だ」
「クク。そーかい」


その言葉、事の次第によっちゃァかっこよかったのにねェ。


「んじゃ、俺は俺の武士道でいかせてもらう!!」


――――バシィッ


「!!」


銀ちゃんが走り出すタイミングに合わせて鉄扇で銃を弾き飛ばすと、遅れて私も走り出す。


「待てェ!!たった一人の人間と一国…どっちが大事か考えろ!!」


あ、えいりあん攻撃してくるし。


「知ったこっちゃねーなんな事!!」


えいりあんの触手を交わしてばっと飛躍する。


「新八ィィィ!!気張れェェェェ!!」
『根性見せろォォォ!!』


見れば新八は口の中にもう入っている。あ、食われちゃうかな。


「ふぐっ!!気張れったって…どちくしょォォ!!」


おお、さすが新八。踏ん張った!

私らは口の中目掛けて触手を駆け上る。


「幕府が滅ぼうが国が滅ぼうが関係ないもんね!!俺は、自分の肉体が滅ぶまで」

「『背筋のばして生きてくだけよっ!!』」


ペスの口へと突っ込んだ私らは、中身を切り刻んだ。ピタッとペスが動きを止めた瞬間…。

――――ゴパン!!

ペスは噴水の如く喀血した。


『…』


なんだこの血まみれ。スプラッタ映画の主演できそう。


「おーい架珠、大丈夫か」


差し出された手をとり立ち上がる。そして、周りに散らばったペスを見回す。


『コレ、食べる気しないね』
「だなァ」
「アンタら本気で食べる気だったの!?」


あ、新八無事だったんだ。


「え、チョ、なんか軽っ!!」
『人の心の中よまないでよ』
「うるせーって言ってんだ!!このムツゴロー星人!!」


あ、オッさんがバカ皇子殴った。


「あ〜あ!!いいのかな〜んな事して〜」


憎たらしいを具現化させたような嫌味な顔で銀ちゃんが言う。


「しるかバカタレ。ここは侍の国だ。好き勝手させるかってんだ」


タバコを吸いながらカッコつけて言うオッさん。だけど…。


「でも、もう天人とり締まれなくなりますね」
「え?」
『間違いなくリストラだね〜』
「え?え?」
「バカだな。一時のテンションに身を任せる奴は身を滅ぼすんだよ」


オッさん、ごしゅーしょーさま。



next.

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