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人の名前とか間違えるの失礼だ





ーーーーゴチン!


「うがァァァァ!!」


うわァ、あれは痛い。トンカチで親指強打した神楽は痛みに木材を破壊していた。


「ねェ銀さん」
「あ?」
「僕ら万事屋なおしに来たんですよね?指と家を破壊する音ばかり聞こえてくるんですけど」
「創造と破壊は表裏一体だよ新八君」
「いつまでたっても創造が始まらないんですけど」
『やっぱ無理でしょ。素人が大工なんて』
「バカヤローお前。最近の大工なんて欠陥住宅とかつくってロクなもんじゃねーよ」
「欠陥人間がつくるよりマシだバカヤロー」
「仕方ねーだろ、大工雇うにも金がねーんだよ。大体、テメーらも万事屋のはしくれなら、これぐらい器用にこなせバカヤ…」


あ、足切った。


「うがァァァァ!!」
『言ってるそばから』
「ダメだこりゃ」
「ぴんぽーん」
「『!』」


なんだ?


「ぴんぽーん」


破壊された万事屋にインターホンなんかない。声の方をみると、男がインターホンを押す動作をしていた。


「ぴんぽーん。すいませーん、お届け物です」


届け物?とりあえず受け取った手紙を読む。



金時君、キンキラちゃん。長らく連絡をとっていませんでしたが、いかがお過ごしでしょうか。僕の方は相変わらず宇宙を縦横無尽に飛び回っております。やっぱり宇宙はいいです。
先日、地球に寄ることがあったので金時君とキンキラちゃんに会いに行ったのですが、どうにもすれ違いになり残念です。
実は今回筆をとったのは、金時君に言いたい事があったからです。昔君は、「オイ茨木、またキャバクラいったらしいな。今度俺もつれてけ」と言ってましたが、彼は「いばらぎ」ではなく「いばらき」です。今さらかと思いましたが、やっぱり人の名前とか間違えるのは失礼だと思います。

それじゃ元気で、金時君、キンキラちゃん。
坂本辰馬

P.S
家壊してゴメンネ(このP.Sって手紙書くと使いたくなるね(笑))



「『笑えるかァァァァァ(怒)本文とP.Sが逆コレェェ!!』」


胸くそ悪い手紙を破り捨てる。つーか燃やしてェェ。


「人の家壊しといてP.Sですませやがったよ。自分も人の名前間違えてるしよォォ!よしんばP.Sが世界平和を願うという意味だとしても許せねーよコレは!」
『銀ちゃんまだいいでしょ!私なんて擦りもしない見た目判断の適当な名前だよ?つーかこいつ私が殴ったこと忘れてんだけど!どーいう神経してんの!!』
「類は友を呼ぶアル」
『友達じゃないよこんなん!』
「死んでくんねーかな!頼むから死んでくんねーかな!スゴく苦しい死に方してほしい!」
「おちついてくださいよ二人とも。手紙はあくまでオマケですよ。坂本さん、これを送りたかったんでしょ」


ん?改めて見ると箱も届いていた。


「何アルかこの荷物?」
「きっと、こっちにお詫びの品とか入ってんですよ」


えー…?あ、でも。


『…そーいや、あのバカ確かボンボンだったよね』


…金!?


『なにさもー、それならそーと早く言えっつーのおちゃめさん!』
「もうホントッ、あいつったら俺に勝るおちゃめっぷりだなホントッ」


とりあえず家なおして、飯食って、欲しいもの買って!なんて嬉々として箱を開けて絶句。


「どーも」
「この度はデリバ…」


ーーーーバン!


「「ぶごっ!!」」


何も言わず銀ちゃんは箱を閉めた。

…………えーっと……。


「あー、コレ夢だなオイ。支離滅裂だもん、ありえねーもん」
『なんか入ってなかった?なんか目ェ合わなかった?』
「ちっちゃいオッさん入ってたヨ。ちっちゃいオッさんがしきつめられてたネ」
「いやいや、今の人形でしょ?人形ですよ。もっかい見てみましょうよ」
「夢だって!いい加減目を覚ませよ俺」


再び箱を開ける。


「どーも」
「この度はデリバ…」


ーーーーゴシャ!


「ウソウソ。夢だ夢」
『ちっちゃいオッさんの悪夢にさいなまれてんのかな私ら』


箱は目に入らない位置へと銀ちゃんによって蹴り飛ばされた。なんだったんだろ、あれ。


「じゃあ解散…目ェ覚ましたらもっかいミーティングな」
「「『うース』」」
「待たんかィィィ!!」


えー?


「てめーら人の話を最後まできけェェバカヤロォォ!!」
「この度はお前デリバリー大工をご利用頂きありがとうございますって言ってんだよコノヤロォ!!」


ちっちゃいオッさんだ…。


「デリバリー大工?しらねーよそんなもん。この度はそんなもんしらねーから帰れ」
「なんだァァその言い草はァァ!!」
「遠い星からわざわざ家直しに来てやったんだぞ!!」


なぬ?家を直しに?


「?もしかして、アナタ達坂本サンに頼まれて」
「そうだよ!俺たちは依頼があれば星をまたいで家を建てに行く、ウンケイ!そして」
「カイケイ!デリバリー大工なんだよ!!」


…はァ?


「チェンジで」
「いやそんなんないから」


チッ。


「テメーらそんなナリで何ができるってんだよ」
『どーせシルバニアファミリーの家しかつくれないシルバニア大工でしょ』
「殴るぞお前。聞いて驚くなよ、俺たちはなァ、江戸を国際都市へと変えた、文明開化の象徴、あの天高くそびえるターミナルの」


…の?


「中にある給湯室のおたまとかひっかけるアレ…アレつくったんだぞ」
「戸を閉めてもおたまとか、ガシャンとおちねーんだぞコルァ!!」


だからなんだよ。


「甘ェーよ。俺なんか牛乳パックで本棚つくったぞコルァ」
「地球に優しいぞコルァ!」


だからなんだよ。


「なんだと。それ位の優しさで地球が救えると思ってるのか?」
「地球っていうか金がねーんだよ」
「家計は厳しいんだヨ!」
「アンタら何の話してんのォォ!?」


ほんとにね。


「どうせこれ以上悪くなることなんてないんですから、やってもらいましょうよ。お金の方は坂本さんが払ってくれたみたいだし」
『銀ちゃん、どする?』


無言で銀ちゃんは床に放り出されていた金槌を拾う。


「こんな言葉知ってるか?茂吉っていう偉い大工が言った言葉でよォ、よくしゃべる職人にロクな奴はいねーってな。口で語る術しかしらねェ奴を職人という。ゆえに職人は腕で語る」


投げ渡された金槌をウンケイがキャッチする。いやカイケイ?わかんね。


「おめーらはどっちのクチだ?」


……つーか、茂吉って誰?




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