公園は子供たちのものだ
「見たか、蝮Zの威力を!これがあれば江戸なんぞあっという間に焦土と化す」
え、なんか住所の場所行ったら警察沙汰なんだけど。なんかテロリストなんだけど。テロってるんだけど。
「止められるものなら止めてみろォォ!時代に迎合したお前ら軟弱な侍に止められるものならよォ!」
テロリストだし真選組だしで絶対関わりたくないけど…。
「さァ来いよ!早くしないと次撃っちまうよ。みんなの江戸が焼け野原だ!フハハハハどうした?体がこわばって動くこともできねーか情けねェ…ん」
「「!」」
『撃ちたきゃ勝手に撃ってろよ』
銀ちゃんが関わってちゃ話は別だよ。
「江戸が焼けようが煮られようが知ったこっちゃないネ」
「でもこの人だけは撃っちゃ困りますよ」
なんか板に縛られて突っ伏していた銀ちゃんに何があったかは知らんが、私らは銀ちゃんの前へと立つ。めっちゃ周りから視線感じるけど無視。
「なっ…なんだてめーらァァ!?ここはガキや女の来る所じゃねェ、帰れェ!灰にされてーのかァ!!」
「な…なんで」
後ろから戸惑ったような銀ちゃんの声が。
「なんでこんな所に…僕のことはもういいって…もう好きに生きていこうって言ったじゃないか。なんでこんな所まで
ぶ!!」
ごちゃごちゃ言っていた銀ちゃんの頭を踏みつける。
「オメーに言われなくてもなァ、こちとらとっくに好きに生きてんだヨ」
「好きでここに来てんだよ」
決して振り向く事なく、前を向いたまま言ってやる。
『好きでアンタと一緒にいんだよ』
ありがたく思えよコノヤロー。すると右に左に真選組が並んだ。は?
「ガキはすっこんでな、死にてーのか」
「あんだとてめーもガキだろ」
『ちょっと並ばないでよ、品性疑われるじゃん』
「安心しろお前に品性なんてねーよ」
「なんなんスか一体」
「不本意だが、仕事の都合上、一般市民は護らなきゃいかんのでね」
護られる方も不本意だ。てか反吐が出る。
「そういうことだ。撃ちたきゃ俺達撃て。チン砲だかマン砲だかしらねーが毛ほどもきかねーよ」
「そうだ撃ってみろコラァ!」
「このリストラ侍が!」
『ハーゲ!リストラハーゲ!』
「俺がいつハゲたァァァ!!」あ、キレた。
「上等だァ!江戸を消す前にてめーらから消してやるよ!」
「私達消す前にお前消してやるネ!」
「いけェェ!!」
それぞれ武器を持って地を蹴った時だった。
「新八、木刀もってきたろうな?」
「え、あ…ハイ…!!」
…はァ!?
「工場長。すんませーん、今日で仕事やめさせてもらいまーす」
「ぎっ…銀さん!!」
記憶が戻った!?
「ワリーが俺ァやっぱり、自由(コイツ)の方が向いてるらしい」
走り出していた銀ちゃんは高く飛躍した。
「死ねェェェェ坂田ァァァ!!」
「お世話になりました」
あ、憎たらしい笑み…。発動中だった大砲に銀ちゃんは木刀を突っ込んだ。
「えっ」
ーーーードン!!!!「ぎゃああああ!!」
うわぁー、見事な爆発。誰も口を開く事なく眺めていると、銀ちゃんがこちらに歩いてきていた。多分、記憶は戻ったんだと思うんだけど…私らは駆け寄ることも、声をかけることもせずに見つめる。
「けーるぞ」
いつもの死んだような魚の目。文句もなくなり、私らは笑顔を浮かべ先を行く背中を追いかけた。
next.
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