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すねに傷がある奴ほどよくしゃべる





その日私らは新八の家で鍋をしていた。


「遅いな〜姉上」


心配そうに新八が遠くを見つめる。


「今日はせっかくお金入ったから鍋つくったのに」
「客とアフターでもきめこんでんじゃねーの?こっちの方はできたぜ」
『イイ〜感じに煮えてるよ』


かき混ぜながら言えば新八が鍋をのぞきこんだ。


「ちょっと…何入れたんスかコレ?魔女がグルグルかき回してる謎の液体みたいになってるじゃないスか」
『手に当たる湯気がちょっとピリピリするんだよ』
「もう魔女の劇薬以外の何でもないじゃないですか!!」


匂いは別段悪くはないんだけどね。


「とりあえず冷蔵庫にあるもの一通り入れたな。鍋は色々入れた方がうまいからな」
『闇鍋ってものがあるくらいだからね』
「どーだ神楽?」
「銀ちゃんの足の裏みたいな味がするヨ」


毒味に神楽に食わせれば最悪な感想。


「オイオイ最悪じゃねーか。兵器だよソレ」
「自分の足の裏でしょーが!どーすんですかもう」
「清潔にするよう心がけるよ」
「オメーの足じゃねーよ!鍋だよ鍋!」
「ただいまァ」
「!!」


あ、お妙の声。


「ヤバイ…帰ってきた。姉上帰ってきた」


めちゃくちゃ冷や汗ダラダラな新八。気持ちは分かるけども。


「この状況を打破できる具材は残ってねーのか?」
『もう全部入れ尽くしたよ』
「そうだ!俺の足を入れてみるか?同じ臭いがぶつかり合えば相殺されるかもしれん」


相殺されようがされまいがそんな鍋食いたくな…っ。


『…神楽、アンタそれ何いれてんの?』
「ハーゲンダッツだヨ。姉御ハーゲンダッツ大好きだって言ってたからきっと喜んでくれるネ」
「神楽ちゃん、それはね、好きなモノをドブに捨てているようなものだよ」


取り返しのつかない鍋の中にハーゲンダッツを何の躊躇もなく入れていく神楽。私らは一斉に机につかみかかった。


「片づけよう、こんなのない方がいい!ない方がいいよ!」
「やーめーろーや!あきらめるな、あきらめたらそこで試合終了ネ!」
「試合は中止だから!体育館にウンコばらまかれてたから!」
『時には諦めも肝心!これ覚えときな!』
「新ちゃーん。冷蔵庫に入れてたハーゲンダッツしらない?」


げェ!?


「ヤベー奴めハーゲンダッツに早くも気づきやがったよ!おたまはどこいった!?」
「無理無理もう溶けてますよ!」
『もう手でとれ手で!』
「あつァつァつァつァあ゛ッつァ


熱々の鍋の中に手を突っ込んだまでは良かったがやはり熱さに耐えきれず銀ちゃんは鍋から手を出した。ら、ちょうど現れたお妙の顔面になんか溶けかけのものが思いっきりかかった。

…うわ〜…。

笑顔のまま微動だにしないお妙に私らは無表情に固まった。



















「いらっしゃいませェ」
「「ハーゲンダッツ100個ください」」


車に引かれた後のようにボロボロの銀時と新八がスーパーにいた。


「…お客サン、言っとくけどハーゲンダッツは100個集めても別に願いとか叶わないよ」
「いいからハーゲンダッツ100個もってこいって言ってんだろハゲ」




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