テレビとか新聞とかちゃんと見ないとダメだって
「ぎゃああああ」
歯を磨いていたら朝っぱらから神楽の悲鳴が聞こえてきた。
「助けてェェェェ!!ヘルス!ヘルスミー!!」
「ヘルプミーな…どした」
バタバタ泣きながら走ってきた神楽にひげ剃りながら銀ちゃんが問う。あの神楽が泣くって何があった?
「ゴッ、ゴッ、ゴキブリぃぃ!!私っ…私の部屋!!」
『は?ゴキ?部屋ってことは襖か…』
「何だお前、宇宙最強のくせにゴキブリだめなの?」
「ダメ!油ギッシュ!!シェイプ!シェイプアップ乱!!」
「ヘルプミーな」
もはや何言ってんのかすらわかんねェよ。
「お前なァ、江戸で生きてくって事はゴキブリと共に生きていく事と同じことだぜ。見とけ江戸っ子の生き様を」
ーーーーパン.
思いっきり襖を開けた先を見た私らは絶句した。
「『うおおおおお!!』」
慌てて私らは部屋から逃げ去る。つーか腰が抜けた…なにあれ!?
「おはよーございまーす…どしたんですか?」
『し、しし、新八くん…』
「ゴッ…ゴキブリ!ものっそいゴキブリ」
「パルプ!パルプフィクション」
「ヘルプミーな」
「ハァ?ゴキブリ?」
涙ながらに言えば新八の奴呆れた顔しやがった。今に見てろや。
「何を今さら…江戸で生きてくって事はねェ、ゴキブリと同じ部活に入るよーなもんですよ。見といてくださいよ、江戸っ子の心意気」
「オイ、志村うしろ」
振り向いた新八の背中には同じぐらいの大きさのゴキブリが背負われていた。
「ぎゃっふァアアア!!ヘッ…ヘルペス!ヘルペスミー!!」
「ヘルプミーな」
ほら見ろ。私ら以上の狼狽えじゃんか。とりあえず部屋を閉め切り外に私らは座り込む。
「なんスかアレ、なんであんなんいるんスか?」
『しらないよ』
「あれホントにゴキブリアルか」
「しらねーよ」
「しらねーよってアンタらの家でしょ。アレはねェ、アンタらがつくりだした化け物だ」
「君達のだらしない生活があんな悲しいモンスターを生み出してしまったんだヨ銀時君、架珠君」
「『てめーらも住んでるよーなもんだろーが!!』」
何私らだけに責任押しつけんだよ!
「こいつァ仮説だが、俺ァ恐らくコレが関係してると思う」
「あ。私の酢昆布…食べられてる」
『酢昆布とアレとどう関係あるのさ』
「恐らく酢昆布を食することによって奴らの中で何か予測できない超反応が起こり、あんなことに」
「マジでか!!」
酢昆布食ってデカくなるとか初耳なんだけど。なんだよ超反応って。
「ヤバいよ。あんなモン誕生させた上もしアレが街に逃げたら、僕ら袋叩きですよ」
「そうなる前に俺達で駆除する。なんとしてもこの家から出すな」
『まあ…責任はあるって事だしね』
面倒くさいけど仕方ない。
「新八、殺虫剤どうした?恐らく効かねーだろうがないよりはマシだろう」
「あっ、あっち置いてきちゃった」
はあ?
「お前勘弁しろよ〜お前はホント新八だな」
「だからお前はいつまでたっても新八なんだヨ」
『この新八が!』
「なんだァァ!!新八という存在そのものを全否定か!!許さん!許さんぞ!」
別に許さなくていい。
「とってきてやるよコノヤロー!巨大ゴキブリがなんだチキショー!!てめーのケツくらいてめーでふくよ!血が出るまでふき続けてやるよ!」
なんかやけくそ気味に叫んで新八は締め切った部屋の扉を開けた。
「ぎゃあああああああああ」
中から聞こえてきたのは新八の悲鳴。
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