美味いものほど当たると恐い
「オイオイオイオイどーしたんだコレ?」
お登勢さんに呼ばれて来てみれば、箱詰めされた立派なカニが大量にあった。
「竜宮城にでもいってきたのかバーさん。顔もシワだらけじゃねーか」
「殺すぞ若白髪。こいつァ知り合いにもらったんだよ」
『太っ腹な知り合いだねェ』
「冷凍庫ぶっ壊れて全部いたんじまったがね。ちょっと、アンタらも捨てるの手伝っておくれよ」
えー…めちゃくちゃもったいない。
「できることなら食べるの手伝いたかったぜ。勿体ねーな」
『こんなにあるのに…』
「ちょっと、アンタら間違っても食べようなんて考えんじゃないよ。カニはアンタあたるとひどいからね」
言ったお登勢さんに私らはあきれた顔を向けながら箱を抱え上げる。
『ちょっとバーさん、私らをバカにしないでよ』
「いくら僕らだってねェ、腐ったものにまで手ェ出しませんよ」
「カニは腐ると食えねーがな、侍は腐っても侍なんだよ」
「なめんなよババー」
「ハイハイ。じゃ、頼んだよ」
数分後、私らは4人揃って救急車に運ばれていた。
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