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ーーーー半身が、攻撃から猿を庇った。

その事実に周囲の輩は猿こそが鍵だと気付き猛攻撃。あっちこっちで大爆撃だ。



「はっはっは!!何だか大事になってんぞ!!凄え!!」



もう笑うしかないザップの後ろで名前も口元引きつらせて笑い、そのさらに後ろでレオは冷や汗ダラダラ。



「…わああひえおおわわうわrあk」

「情けねー声出すなよ全く。上手くすりゃ連中が猿を殺ってくれんじゃねえのか」



ーーーートン.



「?」



頭に乗った重みに気づいた直後、ザップは悲鳴。



「わあああああああああわあ」

「「わわうわわあああ」」

「そんな簡単な「設問」かしら…相手はあの「堕落王」なのよ?」



運転中のザップの頭に着地するチェインに三人は悲鳴。



「銀のモンキチ。フェムトってどんな奴?」

「モンプチみたいに言うな…どんな奴って…切れ者でお調子こきで人格破綻者で悪趣味で皮肉屋で狡猾で……謎の男さ」

「…そうよね。それを踏まえて考えてみましょう。騒ぎは起こってるもののほぼ自動的に猿がターゲットだと皆が推察出来ているこの状況。あんたの中のフェムトはこれぐらいの仕掛けで満足する?」

「…………確かにな」



ーーーーヒュ.

風が切り抜けるようなかすかな音の直後。

ーーーーズパアァン.

家々も、街灯も、車も、歩行者も、そしてランブレッタも、一斉に斬られた。

ーーーードドドガガガドズンガガガ.

爆発やなんやらの衝撃に吹っ飛ばされる。



「ああああああ死ぬかと思ったあああ!!!」

「うるせええええ俺もだよチキショォォ!!!」



ガバリとすぐさま地面から起き上がった名前とザップはハッとする。



「あのガキは!?」

「やば…」

「いや待て。この騒ぎだ…逃げたに20ドル」

「うっわこんな時まで賭け事とか何その根性!戻ってくるに20ドル!」

「よし」



瞬時に空気を一変させた二人は、気配をたどった。



「え」



見つけたレオの背後で剣を構える半神に、すぐさまザップが飛び込んだ。

ーーーーゴ.

自身の能力による刀で剣を受け止め、抱えたレオごと瓦礫へ吹き飛ばされる。



「大丈夫!?」

「…ザップさん!!シルキー!!」

「てめえ何で戻ってきた」

「!?」

「…お前が逃げるに俺は20ドル賭けてたんだぞ」

「20ドルは私のもんです」

「……!!」



人の生死をかけた決意を賭け事に使ったらしい二人にレオは絶句。



「…にしてもまずいですね。防戦一方で猿まで近付けないや」



建物の残骸の上から、チェインが銃弾を放つもあまり効果はなさそうだ。



「…お前なあ!!もっと働けよ…!!」



ザップの声に振り向いたチェインの顔を見て後悔。



「……………!!今の見たか!?野蛮な闘いはお前らの仕事でしょうゴミはゴミらしくとっとと突っ込んで内蔵引きずり出された挙げ句泣きながらなるべく苦しみつつ後悔とともに死んで来たらどう?って顔しやがったぞおい」

「ああああ今のは僕もそう思いました!!怖え!!あの人怖え!!」

「チェインさんの悪魔ああああ!!」



三人は号泣だ。



「…そろそろ次の「解放」ですね」

「その前に決めるぞ。俺らで奴を足止めするから、その隙にお前が懐に突っ込んで猿を何とかしろ」

「……………」

「大丈夫だ…失敗してお前が死んだら次を考える」

「………」



ハンドランチャーを手に構えるレオの表情を見て、フッとザップは笑う。



「何だよ…何があったか知らねえが、覚悟決まってるみたいじゃねえか。いい顔になってんぜ」

「!?」



霧の向こうに立ちはだかる半神へと構える二人の背中を見たレオは、その手に握られているものに気づく。



「(…何だ?…え?…ジッポ?…あれは?…指揮棒?)」



ザップの手にある銀色のライターと名前の指揮棒に何をするのかとレオは目を瞬かす。



「タイミング逃すなよ…いくぜ…斗流血法」

「…エグマリヌ流水血闘」



ザップと名前がそれぞれジッポと指揮棒を握りしめると、手のひらから血が溢れた。



「刃身ノ壱、焔丸」

「初期形態ープルミエー」



溢れ出た血は意志を持ったようにその形を変え、二人がそれぞれ慣れ親しんだ姿へと変わった。



「(血で出来た……太刀…!?溢れた血が水に…!?ザップさんと名前も…まさか…)」



半神の剣が振り下ろされた。

ーーーーゴバッ!!!



「きゃあああああああ」



レオを守り、二人は右と左へ別れ剣を受け止めるも衝撃に地面は破壊される。思わずレオは悲鳴。



「…ぐへ…!!やっぱ…スゲエな!だがな!!何度も受けてるうちによ…見えてきちゃってんだわ……太刀筋…」

「…もっとすごい人…知ってるしね!!」

「ああ!!」



ぐ、と手に力を込める。



「旦那に比べると、やっぱちょっとアンタ浅すぎだぜ!!神様!!!」



大蛇薙!!!

聖女の洗礼ーサントバテームー!!!



「ギャアアアアオオオオオオオア」

「走れ!!!クソ餓鬼」

「…はいッ!!」



剣を振れないよう名前と共に指や腕を斬り落としたザップが怒鳴れば、レオはゴーグルをかけ即座に駆け出した。

ーーーーゾクッ.



「(駄目だ…)」



背後に感じる気配に、動きが鈍る。



「(桁が違う!!…あっという間に…!!再生してしまう…!!)」



元に戻っていく半神に足を止めてしまう寸前にーーーー。



「立ち止まるな、クソ餓鬼」

「なにそのなっさけない顔は」



水へと血を流す名前。



「…舐めてっと承知しねえぞ」



直後ザップはジッポの火をつけ、名前は水を杖で打ち飛ばした。



「ーーーー・七獄」

「聖女の強奪ーサントデロベー」



水と火が半神の周りを浮遊したかと思うと、半神は燃え上がるどころか爆発したかのような威力を出した。

ーーーーレオの活躍により、ゲートの正体は猿の体についていたノミだった。それを「神々の義眼」と呼ばれる代物の力で見抜いたレオは、親指と人さし指で軽くぷちっと潰してしまった。



「よおクソ餓鬼、奢られに来てやったぞ」

「頼んでませんし。あとレオナルドです」

「あーはいはい陰毛頭。バブラデュゴバーガーとコーラな」

「なんだこの客。雑巾の絞り汁入れてやる」

「んだとこの…」

「それはいい」

「ぐげふっ」



店の手伝いをしていたレオのもとを訪れたザップの頭にチェインが当たり前のように着地する。



「銀猿にぴったりのメニューだね」

「レオー、来たよー」

「お邪魔するよ、レオナルド君」



遅れて名前とクラウスもやって来る。席についてからも、周りの騒がしさに負けず騒がしいライブラメンバーにレオは苦笑しながらも料理やドリンクを運んでいく。

ふと、静かになった気がして見てみると、ザップは食事に夢中、チェインは突っ伏して寝ている、クラウスはゆったりとカップを傾け、名前は甘いものを噛み締めていた。



「レオ!ドリンクおかわりー」



個々の過ごし方だが良い具合に混じり合っている空間に、手を振る名前に返事をしてレオは笑いながら向かった。






END.

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