◎ cinco -スィンコ-
-気付かないふりだよ、多分-
cinco -スィンコ-彼女が転校してきてから、高尾は彼女へのアプローチを始めたのだよ
だが
「殊騎ちゃ」
「....何ですか?」
明らかにめんどくさい、というのを態度で示している感じの対応なのだが、さすが高尾
しつこいぐらいあきらめないのだよ
だが、完全スルー、何があっても、最低限の会話しかしない
高尾だけでなく、皆に、用件だけ
「いや、遊ばないかなと」
「結構です、お気持ちだけありがたく頂きますね」
そう、社交辞令、心のこもらない返事をする
そして、では、次は移動教室でしたよねと席を離れる
「あと......」
何か言い残したようで、くるりと後ろに振り向き
「もう構わないでいただきたいです。というより近づかないでください」
そう言葉を吐き、出ていく
ただ、俺らは同じことを想ったのだ
彼女の手が、少々震えていた
何か、怯えている?
気のせいだと、俺らはその予想を沈めた
2012.12.5.16:57.曖霧