один
「なぁ、文化祭の出し物......って、聞いてる?」


один --

彼はあぁ、と返事をした
本当にこいつ「違う」と「あぁ」だけしか言わない
私はそう思いながら、笑顔で話した


「あの、だからね?」


バスケ部部長の彼は、ちょうどいない日に説明会が行われ聞きそびれてしまったらしい
まったくもって面倒な事を先生に頼まれた


「出し物、何が良い?」


そうきく、返事がこない
そのまま黙っていると、森山君が寄ってきて、あと俺が聞いておくよと笑顔で言った、ありがたい


「あ、え....いいの?有難う、じゃぁね」


私はそう笑顔で教室を出た

笠松君は私....というより女子に滅多に返事をしない
否、しないというより「違う」と「あぁ」しか言わないのだ
あ、返事はしてるや

あぁ、本当どうしようと悩む時はいつも森山君が代わりに聞いてくれる
彼は何一つ嫌そうな顔せず聞いてくれているのだからありがたいことこの上ない
私も私で、本音を言うのが苦手でついつい断る事も、意見を言うこともできなくなってしまっているのだ
というより、面倒なのと失礼だからだ
本音って、あまり良いものないから、ね


「はぁ.....困った」


私は、笠松君の答えを聞きに行く事にした


「で、何が良いんですか?」


私がそう聞くと、森山君が「喫茶だってさ」と笑顔で言う
相変わらず、笠松君はムスっとしている、怒っているのかな?
私は何もしていないですが。


「あの、笠松く...」

「笠松はシャイなんだよ、白春さん」


シャイ...ですか?
シャイには見えないけどなあ


「あの、そうなんですか?私もです、エヘヘ」


何がエヘヘだ、私は
自分の中でセルフツッコミしてしまう、というより寒気がする
だって、私はこういう人間苦手だから
だけど、今の自分は、本音を言ってしまうと周りを怒らせてしまうから

ついつい、本音は言えない


「.........違うと思う」


あ、「違う」「あぁ」以外にも喋った
お兄さんビックリ的な
というか、何が違うのだろう、私は何か...ドクッと心臓の音がした


「笠松、何が違う?」


森山君も気になったらしく、私の思っていた質問をしてくれた


「あ....いや」


自分でも思っていない事を口走ったらしく、少々慌てる


「な....何でもない」


そう顔を隠してしまった
...照れ屋?ヘタレ?....何か違う気がする
何なのだろう、どうやったら喋れるのだろう
よくわからない人、ってのが私の第一印象

こいつと私がかかわってくなんて、この時点ではまったく考えてなかった


один END 2012.10.11.22:14.曖霧








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