ali / だって、 | ナノ

22

エリナが怒って去ってから、自分の心の片隅にあるモヤモヤしたものについて一人で考えて、それから自ら態度については少し反省した。
イライラした俺の態度は、エリナを困らせてしまっただろう。
あんな態度を取るつもりではなかったのだ。

「はあ……」

「また、ため息かよ。」

ため息をついたのは俺、声をかけてきたのはサッチ。

「そんなにため息ついてたかよい?」

「いや、エリナもため息ついてたからさ。」

それだけだよ、と言って、サッチは俺の向かいに腰掛ける。
停泊3日目。
俺はサッチとイゾウと船に残っていた。
イゾウと昼飯を食べながら、人身売買の件や、その他の島の近況を話し合っていた。
そして話が一区切りついたところで、サッチがやってきたのだ。
サッチと俺の会話を聞いて、イゾウが口を開く。

「エリナと喧嘩でもしたのか?」

「いや、俺が大人気ねぇ態度とっちまったんだよい。」

「エリナがナンパに捕まってから、そればっかり心配みたいだぜ、マルコちゃん。」

「それでヤキモチ妬いてエリナに当たっちまったのか?」

ちげぇ!と出かけた声を、ぐっと飲み込んだ。
サッチもイゾウも、面白そうにニヤニヤ笑いながら、こっちを見ていたからだ。

「な、なんだよい。」

「全く、お前らの鈍感さにはびっくりするよ。」

「はあ?」

イゾウがわざとらしくため息をついて、そう言った。
サッチは無言で頷いている。

「マルコ、お前エリナのことどう思ってんだ?」

「どうって……」

何なんだ。
皆して、どう思ってるんだって聞きやがって。
サッチが隣で、無言で頷き続けているのにイラッとする。

「あいつは危機感が無さすぎる。何かあってからじゃ遅い。心配なんだよい。」

「昨日は道聞かれただけだろ?」

そうかもしれない。
でも、そうじゃないかもしれない。
サッチがもし隣にいれば、どうだっただろうか?
それでもあの男は、エリナに声をかけただろうか。
そんなことばかり考えてしまうのだ。

「心配なだけなら、エリナにあんな態度取る必要ないだろ?」

「だから、それは大人気なかったと思ってるよい。」

「そもそもあんなナンパ、エリナなら問題ないだろ。あれでも白ひげ海賊団の一員だぜ?大体お前はなんであそこにいたんだよ。心配で見にきてたんじゃないのか?」

サッチの言葉がグサグサ刺さる。
図星だ。
仕事もひと段落して、街で買い物してると聞いたから、エリナとサッチがいるんじゃないかと思い、商店街を歩いた。
今日こそサッチが横にいると思っていたら、目に入ったのは、赤くなるエリナと知らない青年だった。

「お前あの時エリナに、"何で赤くなってんだ?"って聞いたろ?」

「……あぁ。」

「お前がモヤモヤしてんのはそこだよ。エリナが見たことない照れてる顔を、知らない男に見せてたからだよ。」

言われる度にイラッとするのは、恐らく全部図星だからだ。
同時に、サッチのその言葉がストンと自分の中にハマる音がした。

「お前の抱くその感情は、"妹に"なのか?」

イゾウの言葉に、頭が真っ白になる。
イゾウもサッチも、その先ははっきり言わない。



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