ねぇ、神様お願い(夢主 ver.



鉛色の空の下私はいつも通り一人で家までの道を歩いていた。スクール鞄は右肩に、左手には大嫌いな髪と同じ色の赤い傘を持って。


「やばっ、降ってきたってばね!」



雨はだんだんと勢いを増していく。傘に打ち付ける雨音が、少しだけ恐ろしい。



「ニャー、ニャーニャー」

「!」



五月蝿い雨音に混じり鳴き声が確かに聞こえた。足を止め辺りを見渡す。



「………捨てね、こ」



見つけたのは濡れてしわしわになったダンボール箱の中で震える猫だった。泥なのかはたまた怪我なのか猫は赤茶色に汚れているように見えた。



「怪我…はないみたいね、」



震える猫を抱き上げて調べてみるが幸い怪我はなさそうだ。だけど、何日も食べていないみたいで猫はガリガリで抱き上げる私の手も震えた。



「ごめんね…これ、食べれる?」



目の前に明日の朝ごはん用にと買ったパンを千切って置いてみる。猫は匂いは嗅ぐけど食べてくれない。



「…………」



パンを口に含んで軟らかくして猫の口元にもっていく。



「あ!」



今度は恐る恐るだけど確実に食べてくれた。



「よかった、」




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