valentine(2011.ver (3/3) 「はぁ、はぁ…」 ばか!ばか!私のばか! こんなもの! 「ちょっと待って!」 「……ミ、ナト?」 「うん、俺。それ、チョコレートでしょ?俺にくれないの?」 ごみ箱に捨てようとしていたチョコレート。それを捨てようとしていた私の腕はミナトがしっかり握っていてピクリとも動かない。 「あ、ごめん。痛かった?」 「う、ううん。大丈夫。…だけど、ミナトならたくさんチョコレート貰ったでしょ?っ!」 俯いていた顔を上げればミナトが私のチョコレートを食べていた。 「いや、貰ってないよ。他のチョコは突っ返したもん。俺はクシナのチョコだけが欲しいんだ。それに、やっぱり!クシナのチョコおいしいよ!」 女子のチョコレートを突っ返すなんてことミナトがするなんて驚いた。女子たちには悪いけどすっごく嬉しい。 私ですら気づかなかった胸のモヤモヤを治してくれるミナト。私は"ばかみたい"っていいながらミナトに食べて欲しかったんだ。 「…ミナト。頑張って、作ってみたんだ……食べてくれて、ありがとう」 「おいしかったよ。ごちそうさま」 (20110214) [前へ] | [次へ] |