valentine(2011.ver (1/3) 作っちゃったってばね。持って来ちゃったってばね。…これは、渡しちゃうべきだってばね? 私、うずまきクシナにとって人生初めてのバレンタイン。テレビでおすすめしていた"生チョコ"というものに挑戦してみたのはいい。ラッピングを上手くできたのもいい。鞄の中にスタンバイさせたのもいい。 だけど…どーやって渡せばいいってばね!?? 「うーん…あげる!これ、バレンタインの!……ダメだぁ」 ぶつぶつ呟きながらミナトに渡すための台詞を考える。 「ミナト君!これ、バレンタインのチョコレート…頑張って作ったんだ。食べてくれる?」 「私も!」 「私のも!!」 ………。 たくさんの女子に囲まれ、ちらちら見える黄色い頭。知ってた。ミナトは私と違ってモテることぐらい。知ってた、知ってた…けど。 「…遠い、な」 女子たちの厚い壁。それを乗り越えれる気がしないし。もともと、バレンタインとか私のキャラじゃなかったってばね……。 それに、私から貰わなくても他の女子にたくさん貰ってるよね? 「……私、ばかみたい」 無駄にドキドキしたり。前日頑張ってみたり。全部、全部ばかみたい。 [前へ] | [次へ] |