ねぇ、神様お願い(夢主 ver.



「っ、…グス、」



私はあの猫にとって一番酷いことをしたかもしれない。



「あれ、うずまきさん?」



振り向かない。泣いていることがバレるし、私の名前を知っている人なんてろくな人いないもん。



「あれ?無視?……俺は波風ミナト」

「ミナト……?」



ミナト…聞いたことある。なんでも学園で一番賢くて、一番運動神経良くて、一番モテてる人だって。



「泣いて、る?」

「っ!」



気がつけば波風ミナトは私の目の前に、



「あ、その猫」

「あぁ、俺が飼うんだ」

「………」

「こいつさ、幸せだよね?」

「え、」



「だってさ、この雨の中で誰かに足を止めてもらえて、パンをもらえて、こんな素敵な傘をもらえてさ!」

「!」

「はい、」



赤い傘をスッと差し出してきた波風ミナト。知って、たの?



「あ、傘要らないね。雨止んできた」

「あ、うん……」

「あ、そうだ!クシナって呼んでいい?俺のことは、ミナトって呼んでね?」

「うん、いいけど…」

「クシナと話してみたかったんだ!」

「、///」



彼の目を見たのは初めてだった。彼の瞳は青空のような青。
泣き虫な私の心に青空という青の傘を差し出してくれたのは彼、ミナトだったの。


(20101231)
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