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ここはとある村の集落。人口は少ない。
現在は深夜。シーンとしており耳鳴りがする。
だれも住んでいない古びた屋敷の2階の部屋のベットで横たわっているアルシアはぼーっと考えていた。
「…くる」
呟いた瞬間、開窓がバァンと勢いよく開いた。
窓の淵に腰掛け、足をぶらーんとさせている人物。最初からその場にいて、こうしてアルシアの目の前にいたかのような自然さ、瞬く間にこの部屋の空気に馴染んでいた。
動きの一つ一つが早すぎる。人間には不可能。
「よォ。今日もずんざくような匂い漂わせてンな。」
アルシアはそんな彼の顔を凝視する。
黒い艶のある髪。陶器のように白い肌。紅い目。
悪魔みたいだ。
「なにしにきた、」
「愚問だな」
クッと悪戯な笑みを浮かべて。
コツコツと音を立て僕のベットまでやってくる。
奴が腰を下ろした反動でスプリングが軋む。
「なぁ、」
「…っ」
「痛いんだろ?」
そう言いながら首筋をなで胸を通りすぎ、下腹を撫でられる。
ひんやりとした手が体に沁みて少し震えそうになった。
「脚、開けよ」
血ィ、吸わせろ、と囁く
ああ、僕が狂う。
体質故に村の人々からはバケモノとして扱われ、隔離され、独りで生きてきた僕の寂しさが溢れる。
「アルシア」
「うっ」
名前を呼べ、と手が首元を締める
「…か、るか」
ふ、と奴は微笑みいつも僕にいうんだ。
「愛してる、アルシア」
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