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突然頭上から聞こえてきた声に顔を上げると知る顔がある。

「平助、今日は中々早いですね」

「今日はな。 花京院の下働き共が俺の侵入に気付かなかった」

「あぁ…彼等ですか。」

「全く五月蝿いったらありゃしねえ。いつもいつも周様〜周様〜 ってあいつ等はからくり人形か何かか?」

「…まぁそう言わず。彼等も先代に言われたとおりやっているのです。」

花京院の命令通り働くのが下働きのお役目
周の奉仕をするのも監視をするのも役目なのだから仕方がない
もし周に何かあったのならば、まずは先に叱られるのは下働きの人達なのだから。

「ハッ 窮屈だな全く。…ところでさっき言ってた "つまらない"とは何についてだ?」

「あれですか。 全てにですよ。私はご覧の通り身体も大きくない、加えて身体が弱い。先代が外に出したがらないのです」

毎日毎日、先代から聞かされるのは
らしく振る舞え、意識を持て、など陳腐な言葉ばかり。
周はいい加減そんな日々に飽き飽きしていた。

周はもうすぐで18になる。
そんな周からしてみれば、どれもこれもつまらなく映る。
一番、はしゃぎたい時期に存分に自由にできないのだから当たり前といえば当たり前だ。

「もったいないねえ。外を出れば可愛いおなごが沢山いるのに」

氷屋の息子には理解しがたい、というように
口角を上げ薄く笑う

この男、平助は精巧な顔立ちをしており
そのせいも有り町のおなごを誑かしている


「口を慎みなさい。…なんというか、品がないですよ」

「何を言うかと思えば。 別にいいだろ?俺らだって夜を共にした仲なんだ」

「…あれは若気の至です」


一度…いや二度程、周は平助に抱かれたことがある。

あれは周が先代に婚約者を紹介された時のこと

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