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(微和風)
庭に繋がっている縁側に出て下駄を履く。
目の前に広がるのは日本庭園
庭園様式は枯山水となっている。
カランカランと音を立て歩いた先は東屋
石畳の上を歩き水琴窟(スイキンクツ)、灯籠を横切り辿り着くと腰を下ろした。
この人物。
花京院 周(かきょういん あまね)
由緒正しき花京院の長男であった。
着物を卒なく身に付けている。
黒い艶のある髪は左側のみ耳にかけている
どうやらこれは彼の癖らしい
「はぁ…なんてつまらないんでしょう」
周の髪と同様黒い目が見つめる先には椿、木蓮、クチナシ、ツツジ、色々な木が並んでいる。
見つめると言っても花や木を見ているのではない。
どちらかというと黄昏れている
「疲れましたね」
「なににだ?」
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