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「てめぇ調子こいてんじゃねぇよッ」

「…別に。てかうっさ」

「あぁんッ?んだと?」

「その耳障りな声がうるせぇっつってんだよ」
 

普段通らない道は通るものじゃない。
経験して改めてそう素直におもう。

不良の喧嘩に出くわしてしまった。
ブッ殺すぞ、なんて物騒な怒鳴り声が聞こえたかと思うと、どうやら殴りあってるような鈍い音。うわ、痛そう。

「……」

意味もなくパニクり過ぎて息さえも押し殺す勢いで両手で口を抑えてそのまましゃがみ込んだ。
少し震えているらしい俺の体。

はぁ、なんて全く俺はついてないんだ。

大学のレポートを出さなかった故に居残りさせられ、やっと帰れると思いきや、いつもとは違った道で帰ってみようではないか…!という変な使命感に襲われたのが運のつきであった。

繁華街
19時頃になると人いっそう多くなり賑わいを増す
人混みが嫌いな俺は近道はないかと暇を持て余して路地裏を彷徨っていた。
丁度通った路地が行き止まりで踵を返すとなんか変な奴らが口喧嘩してるし最悪だった。

ぐあ、とかゲホッとかもうなんか聞くからに耳をふさぎたくなるような汚い音がいきなり止んだ。

なんだ、どっちかが倒れたのか。

ふぅ、と息を漏らすもつかの間
いきなり目の前を横切った黒い物体に声を抑えることができなかった

「ヒィッ…!」

たじろいだついでにガラン、ガラガラと転がる大きくて青いゴミ箱とその蓋
中の汚物が散らばる

と、飛んでる…きも

「あ?」

「…っ!」

ゴキブリとかマジ勘弁なんだけど
なんて思う暇もなくて
ドンドン近づいてくる足音に心臓が飛び出そうなほどハラハラしていてもう心拍数速すぎて俺死ぬんじゃないかな。

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