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そう思っていたらカメラマンさんから声がかかった
「は〜い。蒼ちゃん徹ちゃん、あと3分後撮影するわよ〜ん。最初はベッドの上で徹ちゃんが蒼ちゃんを押し倒してるシーンいくわよぉ〜今のうちにポージング話しといねえ〜」
まるで語尾にハートがつきそうな口調の彼女
かおるちゃんだ。…男だけど。
僕がどうしようかと戸惑ってると
「さっさとして」
いきなりベッドに押し倒された
「え、ちょっ」
「………いつものウザいくらいの威勢の良さどこにいったの?体調不良だから?まぁ、いい。お前が静かだとやりやすい」
どうしよう
いつもの蒼なら「あ?てめぇふざけんな」
とか言っちゃうんだろうけど
僕そんなこと言えないし
「なんか今日おかしくね?」
そういわれて目をじっと見つめられる
やばい、どうしよう、このままだと絶対撮影とかうまく行かないよ。
はぁ………泣きそう。
どうすることもできなくて
徹くんをじっと見つめ返した
視界が少しぼやけてるのは
涙のせいだろう
「…………………………翠?」
そんな彼の言葉に驚いた
「ぇ、………なんでわかったの」
僕の返答を聞いた瞬間少し徹くんの表情が緩んだ気がした。
「やっぱり?…蒼っぽくないし、そもそも俺を見つめてこないよ、あいつ」
蒼だったら見つめ返されたら、俺吐くし。っと後に紡いだ。
「…ぼく今日は蒼の代わりで。それで…」
「撮影しに来たって?」
「うん。でもポージングとか全然わかんないし、僕何をどうしたらいいのかさっぱりで」
リード頼んでいいかな?って尋ねたら
徹くんの息を呑む音が聞こえた
「……もちろん。撮影の相手が翠で嬉しいよ」
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