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僕は只今人生最大の試練を迎えています


「ほら眼鏡外して、ちょっと、何このボサボサの頭、今から蒼に似せるためにヘアーカットするわよ」

「や、や、やめてええ無理だからぁぁあ」

僕は今、芸能事務所の楽屋にいます
いきなり、呼び出されてこの状況です

何故そんな所にいるかというと
最近株が急上昇中のAoもといい蒼は僕の弟であるからだ。

そんな兄の僕は蒼のマネージャーをやっていたりする。

「無理じゃないでしょ!今日撮影しないと雑誌の発売日が遅れるのよ!!大体今日に限って蒼が体調不良ってどういうこと!?体調管理出来なかったマネージャーの責任ってもんがあるでしょーが。…………って事で蒼の代わりに翠が出なさい」

事務所職員の優子さんの声に耳がキーンとなる。
みどり、とは僕のことだ。

「だって、僕、撮影とか出来ない」


今回の撮影は
なにやら有名漫画家さんが手がけた作品の
実写化映画の雑誌撮影なんだよ。


しかも。しかもだよみんな聞いて


内容は男同士の切なく甘い胸きゅんストーリー 

つまり男女の恋愛ではない。
 

最近の女の子は男同士の恋愛に熱を上げてるってことは僕もメディア雑誌とかみて知っていたけどまさかこんなに人気なんて。


「てか、一卵性なんだからぶっちゃけ双子デビューすればよかったじゃない」

僕の髪の毛をチョキチョキと切りながら
優子さんがいう

あああ。僕の髪の毛。

「無理だよ。僕にはこの業界眩し過ぎて」

「絶対、売れると思うんだけどねえ。双子」

「売れないよ」

「顔は瓜二つなのに…性格よねぇ……」

「ちょっ、うるさいな!!」

ごめんごめん、と流されて
はい、出来たわよ、といって鏡を差し出してきた

鏡を見たら今まで伸ばしっぱなしにしてきた髪の毛が今や蒼に似た洒落た髪型になっていた。

「わ、すごい。…優子さん美容師さんみたい」

「あら、何言ってるのよ。元美容師よ」

「へ?」

「もう、そんなことはいいから早くスタジオに行きなさい、皆を待たせてるんだから」
 
「あ、うん」

優子さんに流されて
返事しちゃったけど
僕これ失敗フラグしかないんだけど

部屋を出る間際にこんなことを言われた
  
「だいじょーぶよ。今回の役、翠の方が蒼と比べると断然、性格とか合ってるし」

「…うれしくないよ、優子さん」

そう言い捨ててスタジオに向かった

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