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そこは丘の上の野原の近くにあった
沢山の花束が添えられている1つのお墓に近寄った。
名前を見ると、愛染 冬生の文字
「…なんで」
ふ、と封筒の存在を思い出し
開けてみる
チャリっと音がして地面に目を向ける
封筒から何か落ちたようだ
藍色の石が埋まったペンダント
それを拾って手にぎゅっと握った
封筒の中を見ると手紙が入っていた
親愛なる雪実くんへ
今、君がこれを見てくれてるってことは俺はどうやらこの世にいないようだね。
また、今度。なんて嘘に気付かないふりをしてくれて有難う。
我儘を言うならもう少し長く生きたかった。
そしたら雪実くんとも正式に恋人に成れたのかな。
悔しいな。初めて自分の人生を恨むよ。
今まで悔い無く生きてきたつもりだったんだけど雪実くんを置いて逝かなきゃいけないっていうのはやっぱり嫌だな。
これから先、雪実くんは沢山の出会いをすると思う。
そこに俺がいないのは悲しいけど
雪実くんの人生本当に大切にしてほしい
またいつか君に会えるなら
俺は迷わず君を抱き締めるよ。
俺、雪実くんの事大好き。
有難う雪実くん。
君のおかげで最高の人生だったよ
愛染 冬生
涙が手紙に溢れて綺麗な文字がぼやけ始める
僕は冬生さんのおかけで色々なものを知った
前までの僕は生きる意味すら分からなかった
冬生さんに出逢って分かったよ。
僕は貴方に出会う為に生まれたのかもしれない。
僕は強く生きていける気がする
「こちらこそありがとう、冬生さん」
お墓に目を向け呟いた
その瞬間、ザアァっと風が吹く
僕の頬を撫でるような暖かい風
まるで冬生さんが返事をしてくれてるようで
涙を流しながら微笑んだ
*end
ここの受けくんは報われない。
来世でも二人はくっつきます´-`)
よろしければ*
U N I O N
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