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次の日の朝。

なんとなく彼に会える気がして
再び公園に足を運ぶ

最近聴いた歌が聴こえて
何故か満足している自分がいる

話をかけるとどうやら彼も
僕と同じ考えのようだった

それから彼とは殆ど毎日会うようになった

もちろんあの公園のあの白いベンチで。

「雪実くんって趣味とかある?」

彼の口がゆきみと云う僕の名前を紡ぐ

「いえ、特にこれといったものはないです。…冬生さんはありますか?」

ふゆき。これが彼の名前だ

初めてお互いに名前を教えた時に顔を綻ばせながら「なんか似てるね」と言われたことを覚えている

「俺かー、俺はやっぱ歌を作ることかな」

彼は歌を作るのが上手だった。
テレビに出ている歌手が歌ってる歌よりもうまいと感じるほど。

「お上手ですもんね、歌」

「はは、病人のただの暇つぶしさ」

僕とはタイプが正反対だと素直に思う
なぜ一緒にいるのかと問われると
何故だろうと言うだろう。

彼と過ごした1ヶ月はあっという間だった。

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