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確か彼にあったのは
散歩をしている時だった

どこからか歌が聴こえて
誘われるようにそっちの方に行ってみた


辿り着いたのは公園

白いベンチの上で綺麗な彼が歌ってた
儚くて消えてしまいそうだった。

僕は近づいて「いい歌ですね」と言うと
「おれがつくったんだ」と横顔でどこかを見つめていた。

見つめているのはただの砂の筈なのに
僕にはそうは見えなかった

「なんていう曲名なんですか?」

「藍色恋歌」

音のハマりがいい響きだった

「藍色のように深い恋の歌って意味だよ」

恋か。

僕には理解できないものだ。

「俺はね。もうすぐ死ぬんだ」

か細い声だけど確かに聞こえた
いきなりのカミングアウトに
なんて返せばいいか言葉を探しても見当たらない

どうやら話を聞けば不慮の病であと二ヶ月しか命がもたないらしい。


こんなに綺麗なのにがもうすぐ死んでしまうのか

そう思う反面
人生の終わりが見えている彼を羨ましく思う自分が居た。
みんなが思う通り。
僕はクズらしい。

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