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「暴力をふられるんだ。ヤッてる時に」
相変わらず優しい手付きで撫でてくる
「最初は優しかった。だけど最近になってヤッてる最中に叩かれたり、殴られたり。俺、淫乱とか言われるけどドMじゃないし、なのに相手は嬉しそうに笑ってて、それでヤッた後はごめんねって謝って優しくしてくるんだ」
なんか虚しい
じわりと涙が偲のシャツに染みる
「痛いし、気持ち悪いし、最悪。でも好きだったから許せた。だけど今日ハッキリ言われたんだ。お前どーせスペアだしって」
もう涙が止まらなかった
本当に好きだった
スペアってなんだよ、それ
ただ遊ばれてただけだった
言われた瞬間、彼への気持ちが一気に下がっていった。
グズっと鼻がなる
「…うっ、おれ、ちょーばかみたい」
あんな糞に遊ばれて
情けない。
すると今まで黙って俺の頭を撫でていた偲が「そうだね」と呟いた。
偲の方を見たら冷めた目でこっちを見ていた
びくりと心が震える
「こんなに弱るまで我慢するほど好きだったんだ」
へぇ、妬けるね、と手の甲で頬を撫で
目元の雫を舌で舐め上げた
「花崗は何も悪くない。悪いのはその男。そんな男より俺の方が全然いいとか思わない?」
「…おもう」
「趣味が悪くなったんじゃないの」
「かもね」
「花崗」
「ん」
「俺はお前をもう泣かせない自信あるけど」
また頭をなでられた
俺はこの手が好きだ。
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