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なりゆきで偲のマンションに来た
もう1年は経ったはずのに
ここを出て行った時から何も変わってない 
本当に何も。
懐かしい黒のソファーに座らされた

ほら、っとコーヒーを渡されて
ん、と受け取る


……これ俺が前使ってたマグカップじゃん

「捨てないの?」

マグカップをじっと見つめて問いた  
偲は、あー。と一声上げて

「だってなんかまた使う気がしたから」  

それは友人としてって意味で受け取っとく


ぼーっと考えこむ
なんで俺、ここにいるんだろう
もう別れた時から関わらない方がいいと思ってた
今この現状が不思議で仕方ない

「花崗、おいで」


偲は俺に甘い
親友の時からそうだった
 
マグカップをローテーブルにおいてソファーの上で両手を広げる偲の目の前に立った

抱きしめるように片手を腰に手を回し
反対側の手は腕を掴まれた

こつん、と腹に偲の頭が押し付けられた

「座りな」

どこになんて聞かなくてもわかる
俺はそっと偲の太腿の上に座った

座った瞬間ぎゅっと強く抱きしめられる
密着している部分からじわじわと体温が伝わる

「なにがあったの」

偲の肩口に寄せた頭が偲の綺麗でほっそりとした手で撫でられる

ほらな。やっぱ偲は俺に甘い。

俺はシャツに顔を押さえつけて言葉を紡いだ。

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