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2話(庭の人:2)

『すいません、一条心霊探偵事務所所長代理の一条です』
「暑い中ようこそいらっしゃいました…。そちらの方は?」
『こちらは助手の岡田さんです』
「よろしゅう」
『いきなりで申し訳ありませんがご依頼の方を』
「はい…」

奥さんが口を開いた

最近この家を買って住んでいるのだが娘達ふたりが急におかしくなった
下の娘3歳は「ここに誰か寝てる」と庭に子どもらしきものを描いた
上の娘5歳は花壇を見て「おじさんが苦しそうに寝ている」と言う
夫はそれでノイローゼ気味になり今は仕事を休んでいる
自分もノイローゼになりそうだ
だから原因の解明と解決をお願いしたい

『確かに疲れきったお顔ですね』
「失礼じゃ」
『ごめんなさい。では調査に入りますね』

カーテンで閉ざされている、庭へと繋がるガラス戸に近寄りカーテンを開けて閉めた

『以蔵さん!』
「何じゃ!」
『やばみ!』
「何がやばみ!じゃ!」
『見たら分かる』

再びカーテンを開けた
広い庭で手入れがされていたのであろう痕跡が見えた
だが注目すべきだったのは花壇と少し離れた低木の根元

『埋まってる』

苦しそうな男性と小さく丸まった赤ちゃんがいた
子ども達は波長が合って見えてしまったのだろう

『気配はする。奥さん!子どもが言っていた場所は掘りましたか!?』
「ほ、掘りましたが…」
『警察呼んで!「一条由行がいる」って伝えたら大丈夫!』

シャベルを借りて僕は木の下を
以蔵さんは花壇を掘り起こした

中々深く埋められていたが黒いビニール袋が出た瞬間血の気が引く
一応、と確認のため出てきてくれていた旦那さんが悲鳴をあげた

「警察です!」
『こっち!』
「あ!由行さん!」

駆け付けた警官に敬礼された

「またですか…」
『またですよぉ(´・ω・`)』
「以蔵さんもですか」
「何じゃ、わしが居ちゃ悪いか」
「いいえ〜」

庭にぞろぞろと鑑識さん達が入ってくると掘られた花壇の中身と木の下の穴を見て「うわっ」と呟いた
すぐにブルーシートで囲まれる

「『見える』方って大変ですね」
『普段はこの眼鏡を掛けて抑えてます』
「凄いですねぇ。ちょっと見せて頂けますか?」
『はいどうぞ』
「あれ?普通の眼鏡だ」
『能力潰しですから』

興味深々に眼鏡をくるくる回していたのでついでに教えてあげた

『犬、亡くなったんですね』
「っ…う、うぅう…」

ぼろぼろと泣き出した

『ずっと足元ではしゃいでるので。一緒にいられて良かったね』
「ちょっ!何してるんですか!?」
『やっべ』

眼鏡を回収して顔見知りの警官を鑑識に押し付けた

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