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1話(庭の人:1)

『懐かしい夢見た…』

頭をガシガシと掻く
先生と出会った日の夢なんて久しぶりに見た

『今日もお仕事頑張るゾイ』

むんっ、とパジャマを脱ぎ捨て今日の仕事に向かった


『初めまして、僕は所長代理の九条由行です』

子ども!?と驚いた顔をされた
そりゃ18歳ですからと答えると更にびっくりされた
所長の先生について聞かれたので先生は今ちょっと旅行していますと答えた

『暑かったでしょう。今お茶をお出ししますね』

冷蔵庫から冷やしておいた水出し緑茶を取り出してコップに注ぐ

『そう言えば言っていませんでしたが僕には全くと言っていいほど霊に対しての戦闘能力はありません。見て聞いて話せるだけです、が』

くるりと振り返るとお客さんが花瓶を持ち上げて固まっていた

『霊とは契約できるんですよ。ね、以蔵さん』
おんし、こいつに何をする気じゃった?」

ガチガチと震えているお客さん
その首に刀を突き付けるのは僕の契約霊、岡田以蔵

『さーて、お客様。ご用件は何でしょうか』

ガチガチと歯を鳴らしているお客さんに微笑んだ
結局ただの腕試しだった
鬱陶しいな!


『えーっと、今回の依頼…何これ』
「何じゃ」
『自宅の庭に幽霊が出るんだって』
「大事じゃなぁ」

足が無いので自転車or交通機関で移動
以蔵さんは自転車では霊体化して2人乗り
交通機関ならふつうに一緒に乗る

『今日は電車で行こ』
「おん」

毎回交通費はしっかりと頂く
勿論報酬もしっかり貰うが

「褒美はたんまり弾んでもらうきのう」
『暑いしね』

スーツ姿の以蔵さんと私服の僕が並んで座っているとやはり「?」「?」という顔で見られる

「そこは駅から遠いんか?」
『結構近いね。いぞーさん日傘持たないと暑いよ』
「わしは日傘なんぞ似合わん」
『駄目だって』

電車を降りるとムワッとした空気と太陽

「…」
『はい、日傘』
「すまんのぉ」

ふたりで道を歩く
暑いのは嫌だなぁ…

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