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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -




26話(先生父、探偵事務所来訪す:終)

とりあえず凄かった
以蔵さんの刃は葵さんを捉えられなかったし、葵さんも以蔵さんに当てられなかった
「残像だ」ってやつがよく似合う戦いだった

「あぁ〜…当たらなかった…」
「おまん…人間か?」
「人間だよ〜。次由行やる?」
『えぇ〜…』
「その指輪の使い方勉強できるよ」
『…やる』

レイピアをにゃんにゃん棒に戻し鞄に仕舞い違うものを取り出して手の中で転がした
僕に渡したような小さな箱だった

「さー、どうする?」
『…指輪、メリケンサック代わりになるかな』
「メリケンサック!?大事にしてよぉ…。元は『針』だからそれをイメージしてごらん」
『うーん…』

イメージしようと考えていると葵さんが箱を手のひらで転がしていたのを握った
手を開けると何故かハリセン

『ハリセンwww』
「いや、あれは…」

ハリセンの素振り音がやばい
ヒュンヒュンって音じゃない、パァンって音がしてる

「一回だけ悪いことしたときにハリセンで叩かれたけど首が折れるかと思ったんだ…」
『ヽ(ヽ゚ロ゚)ヒイィィィ!』
「本気でやらないとどっかへし折れるからね☆」
『先生へるぷ!死ぬ!!』
「無理…スパルタだから…」
『あ゛ーっ!』
「参ります」
『い゛やー!』

ハリセンを持った葵さんが突っ込んでくる
咄嗟に顔を庇おうと手でガードした


「俺を!呼んだな!」
『え、エドモンさん!?』
「おおー、まさか召集ができたとは!」
「よっ、巌窟王」

片膝ついた状態で僕を横抱きにして左腕は肩に、右腕でハリセンを防いでいた

「随分と硬いハリセンだな」
「元は木だから」
「そんなもので打とうとしたのか」
「ちゃんと寸止めするさ」

ピタッとハリセンが止まる
寸止めできるのか

「まー、次は無い」

ハリセンを再び構える
持ってるのはあれだが構えが格好いい

「構えな。彼に頼ってばかりじゃいられないだろ」
「ひゅ〜、ダディ本気〜」
『…エドモンさん、離して』
「いいのか?」
『頑張る』

エドモンさんと離れて再び向かい合う
滅茶苦茶怖くて冷や汗出る
でも立ち向かわないと

「…」
『…』

目の前に葵さんがいた
ハリセンが頭に振り下ろされていると理解するより前に目の前の体に手を伸ばした



由行の体が沈むのと同時に父の体が横に吹っ飛んだ

そして父が立っていた場所に以蔵さんが刀を鞘に納めた状態で振り抜くような姿で止まっていた

「お、おん?」
『あだぁ…』
「いたたたた…」

咄嗟に土をふかふかにしたらしく土まみれの葵が起き上がった
脇腹辺りの服を捲るとアザが一線

「まさか以蔵さんぶつけてくるとは思わなかった…」
『以蔵さんがぶつかるとは思わなかった…。さっきみたいに誰か来るのかなって…』
「わしも急に引き寄せられて驚いたき」
「対象を引き寄せたり、相手にぶつけるって感じか。使い方次第で何でもできそう」
『いたい…あたまぐわんぐわんする…』
「頭叩いちゃったから。ごめんね」

よいしょ、と抱えられて移動し、エドモンさんに渡されて葵さんは戻った
次は親子戦だそうだ
エドモンさんのハリセンを受け止めた側の腕を擦りながら観戦
以蔵さんは流れ弾が来ないように待機してくれていた。開始直後から飛んでくる流れ弾(先生の魔眼で「破壊」したものの破片やら葵さんの「変造」で違う物質になったものが飛んできたり)で大惨事
終わった頃には周辺ぐちゃぐちゃ、以蔵さん結構ぼろぼろ(破片等を防いでくれていたため)
親子もずたぼろ
それでもにこにこしながら再び車に乗り事務所に帰った
エドモンさんは気が付いたらどこかに消えてしまっていた

「また来るね〜」
『またね〜』
「気を付けて」

いきなり頬にキスされた

『ファー!?!?』
「あれ?」
「ダディ、ここ日本」
「あー…ごめん」

然り気無く先生の頬にもキスした
しかし無反応、慣れてる

「普段は海外にいるから間違えた、ごめんね」
『びっくりした…』
「以蔵さんもまたね」
「んなっ!?」

以蔵さんにも頬っぺちゅーした
あばばばば…となっている以蔵さんに別れを告げて葵さんは帰っていった
嵐のような人だった…


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