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22話(海と怪異と復讐者:3)

「うげぇ…」
「あぁ…」

波が消える
手の中には片方が解錠されている錆びた手錠
もう片方は施錠されたままで何かがこびりついている
恐らく「心中」だろう
ただし片方はどこかに行ってしまったようだが

「大当たりだ」
「気分が悪いのぅ」
「これが今回の怪異の原因だわ」

たまにあるのだ
海は色々な場所に繋がっているため違う場所のものが流れ込んできたりする
今回も一応事前に調べていたが全く関連がありそうなものが無かったからまさかと思っていたが

「さっさとこれを供養して花火するか」
「おう」

海から上がると手錠を供養するため持ってきた風呂敷で包んだ

「さーて、息子はどこだ」
「近くに居そうじゃのぅ」

探していると「先生!以蔵さん!」という声が聞こえて由行がこちらに走ってきた
見覚えのあるマントを羽織って

『先生以蔵さん!』
「由行」

むぎゅっ!と抱き付いてきた由行を抱きしめる
ふわりと煙草の残り香がした

「由行、誰と一緒に居た?」
『えっと、エドモンさん』
「ふーん」
「棗」
「エドモン、ねぇ」
『先生、顔がすっごい怖いよ』
「ほぉ〜ん」

由行が来た方を見たが誰も居ない
くそっ…

「…花火だけして帰ろうか」
『うん!』



火の着いたロケット花火を投げて遊んでいると海に誰かが入っていく
急いで引き留めようと走り出したが後ろから抱き留められた

『もう!誰!?』
「止めておけ」
『あ、エドモンさん』
「見ろ」

海を見ると誰も居なかった

『あれ?』
「あれは残留思念だ、追いかけると連れていかれるぞ」
『あぶな「おいゴラァ!うちの息子から離れろクソ野郎!!」

先生が突っ込んできたのでエドモンさんが僕を抱き寄せ下がった

「やーっと見付けたぞ!うちの息子に手を出す害虫め!」
「ハッ!害を成すのはお前の方ではないのか?」
「ア゛ァ!?」
『先生怖い』
「ごめんね」
「おまん、わしの主に何しゆうがか」
「ふん」
「わしを笑うたな?」
『あばばばば』

殺気がやばい
背後は黒い炎がちらついているし目の前は魔眼モードの先生と人斬りモードの以蔵さん
泣きそう( ;∀;)
ふと気付いた
海から何かが上がってくる
先生達は海を背中にしているから気付いていない
エドモンさんは海が見えるから然り気無く僕を背中に庇った
声が出ない
先生達の後ろに…!

「「邪魔するな!」」

肘鉄を顔面に叩き込む
海から来たものは液体を撒き散らしながら倒れた

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