21話(海と怪異と復讐者:2)
「これだから『破壊』の魔眼は使えないんだよ!!」
「落ち着かんか」
「だぁー!」
以蔵とふたりきりで歩く
今回の依頼は「夜の海に現れる怪異を解決してほしい」とのこと
カップルで歩いているといつの間にか海に入っているという怪異
すぐに気付けたならいいが、そのまま亡くなってしまった人が出たため依頼が来た
だから3人でやって来たのにいつの間にか引き離されてしまっていた
「俺等でカップル認定されたか!?」
「いや…まさか」
「ん?」
「由行の側に誰かが居たせいでかっぷる二組じゃと勘違いしたんちゃ」
「あ、あぁ〜…」
何となく分かった気がした
「じゃあ怪異解決するまで会えないか」
足元に水が迫ってくる
「さっさと解決して花火したいし。以蔵、いけそう?」
「ああ、任せちょけ」
ふたりで刀を構える
魔眼を最大限に活かすための妖刀だ
「さーて鬼が出るか蛇が出るか」
膝まで水位が上がってきた
「いざ!」
「いくぜよ!」
一歩踏み出した
『あれ?』
「どうした」
『波打ち際、近くなってない?』
「…怪異だな」
『やば…』
ずんずんと波打ち際が近付いてくる
怖くなってエドモンさんにしがみつくと更にスピードが増した
『あ゛ぁー!僕泳げない!!』
「なら俺から離れるな」
『はいぃ〜…(´;ω;`)』
どんどん水位が上がり太腿まで海水が迫ってきた
だがエドモンさんは動かない
『こっ…こわいぃい…』
「安心しろ、死にはしない」
頭を抱き寄せられて胸に押し付けられた
煙草とコーヒーの匂いがする
とても落ち着いて胸元にしがみついて海に沈んだ
「っだらっしゃあ!」
「ここかぁ!」
剣撃が海水を跳ね上げ、波を割る
「また外れ!!ったくどこだよ!」
「知らんち!」
「ここかぁ!」
バッシャアア!!と水を跳ね上げて刀を振っていると手応えがあった
「あった!」
手を突っ込みそれを引き揚げた
「もういいぞ」
『あれ…?』
目を開けると穏やかな海は月に照らされていた
あんなに恐ろしかった海も遠くで波打っていて体も全く濡れていない
『濡れてない』
「あれは幻覚だ」
『嘘でしょ!?』
「恐らくパニックを起こさせる為だろう」
『えぇー…っくしゅん』
海の夜は冷える
マントを掛けてもらいふたりで並んで近くに座った
『先生達どこだろ』
「さあな」
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