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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -




18話(壊れた神様:終)

「生きてる?」
『死んでる』
「そっか、じゃあ埋めよう」
『きちく〜コフッ』

足が砕かれた上に合体させていたので体はズタボロ
まさに瀕死

最初に見た時に気付いたのは「これは『神』じゃない」だった
神にしては神性といえたものは無く、しかし神のガワを着ている
恐らく神の居なくなった社に入り込んで「混じった何か」なのだろう
神では無い以上始末は簡単だが分裂していたので一旦ひとつに戻す必要があった
分裂したものをひとつにするには「戻らないといけない」状況を作ればいい
だからわざと呑まれた
スマホのメモに要点を残して女性に託し、後は自己暗示であちらのいいようにさせた
思っていた通り「器」を見付けたため分裂していたものが集まりひとつに戻った
後は本体になるものを破壊すればいいだけ
まあ、思っていた以上に体がズタボロになったが

『ごほっごほっ』
「もう少し我慢して。すぐに病院に行くから」
『はーい』

先生の魔眼で「破壊」された足が痛い
内面もぐちゃぐちゃでしんどい
寝たいが寝たら死にそう

うとうとしていると煙草の匂いがした



「おい!」
「ん?…あ!やられた…くそっ!」

背負っていたはずの由行が消えていた
全く気付けなかった



煙草とコーヒーの匂いがする
懐かしい匂いだ
髪をすきながら何か歌うように言っている
眠たい

「…待て、しかして希望せよ」

足や体の内面のぐちゃぐちゃの痛みがなくなった
目を開けようと思っていたが優しく髪を撫でられる感覚と眠気に勝てず心地よい眠りに落ちた



「由行!」
「無事…のようじゃな」
「いや」

ベンチで寝ている由行を以蔵に託し、その下に敷かれていたマントを掴んだ瞬間霧散していった

「お手付きだ」

だらりと曲がっていた足はしっかりと治っていて呼吸も安定していた
それにあのマント

「〜〜〜〜〜っくっそ!クソが!」
「棗!?」
「蝶よ花よと育てたうちの息子に手ェ出しやがって!」

由行が寝ていたベンチが砕けた

「マジでざけんな!夢に悪い虫が沸いたみたいだから眼鏡直しにいったらこれだよ!」

地団駄を踏むと足元の煉瓦にひびが入る

「あ゛〜っ!もう!」

生えていた花の頭が全て落ちた

「落ち着かんか!」
「はーっ…クソっ」

紅い瞳が黒に戻る
顔には皺が寄っていたがすぐに消えた

「最っ悪、唾付けられた」
「それはあかんのか?」
「以蔵さんは違うから分からないだろうけど、正直言うとこの子は色々ホイホイするから心配してたんだよ。だから眼鏡に魔眼の能力抑える機能付けてたのに」

怒る棗を落ち着けながら事務所に戻るのは本当に大変だった

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