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16話(壊れた神様:2)

ひたすら暗い闇だった
真っ暗で何も見えない
いつの間にか眼鏡を落としてしまったらしく位置を直そうとしたが無かったので諦めた

『あーあ…やっちゃった…』

先生達が来るまで生きていられるだろうか…なんてぼんやりと考えていた
大丈夫、暗闇には慣れている
閉じ込められた押し入れの中で

『大丈夫、大丈夫、先生達が迎えに来てくれるから』

手の震えが止まらない
小さく、丸くなっていれば大丈夫
大丈夫、先生が迎えに来てくれる
(迎えになんて来ないよ)
うるさい
(君はひとりだ)
黙って
(哀しい子)
僕をそんな目で見ないで

ゆっくりと体に靄が覆い被さってくると僕に囁く
古傷が痛い
もう治ったはずなのに

(お前はひとりだ。誰にも愛されない)
違う、先生と以蔵さんがいる
(本当に?)

顔を上げた
目の前は闇
ひとりぼっちだ

『あ』

迎えなんて来ない
僕と先生の魔眼は相性が悪い
だから先生は新しい子を探しに旅に出ているんだ
以蔵さんは外に出るために僕と契約しただけなんだ

(そうだよ、お前はいらない子だ)
『いらない子』

靄から手が伸びてきた
冷たい

(可哀想な子)

冷たい手が目を覆う
何も見えない
暗い












「由行!」

魔眼を使い社の拝殿を「破壊」する
砕けた破片を踏み砕く
話に聞いていたような黒い靄が本殿の中に充満していた

「俺の息子に…手を出すなぁあああ!!!!」

紅色の瞳が靄を貫く
と同時に何かが飛び出し棗に襲い掛かった
それを以蔵が防ぐ

「由行!」
『うそつき』

由行が小刀を構える
破壊の魔眼で「破壊」しようにも由行も魔眼が発動しているため目が合ってしまえば双方が大怪我する
以蔵は由行と縁を結んでいるため攻撃できない

「ごめん!以蔵!俺を見ろ!」

バチンっと弾ける音をたて由行と以蔵を繋ぐ契約を「破壊」した

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