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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -




14話

一条心霊探偵事務所は今日はお休みです

『以蔵さん何か欲しいものある?』
「酒」
『それ以外に何か』
「ああ、といれっとぺーぱー?が無くなりかけちょったぞ」
『やばみ』

いつものトイレットペーパーをカートに乗せる
つか主婦か貴様は

『以蔵さんって主婦みたいだよね』
「馬鹿にしゆうがか?わしはおまんの世話役兼用心棒じゃ」
『いつもお世話になっております』

僕が先生と会って養子縁組したのは9年前
その半年後に以蔵さんに会ったからもう8年以上の付き合いだ
ちなみにサリエリ先生達は5年の付き合いである

『はっ…!』

主婦達がざわめいている
多分これはあれだ

「卵1パック108円〜」
『以蔵さん』
「おん」

スキル:撃剣矯捷なること隼の如し
おばさま達をすり抜け腕を伸ばし確実に卵を手に入れた

「卵取ったぞ」
『ナイス以蔵さん!』

ふわりふわりと戻ってきて卵をカートに入れた

『お昼はオムライスだ!』
「ほか」

カートを押して更に買い物を続ける
お茶菓子は音楽家ふたりから貰ったお中元がまだあるし今週はいいだろう
あ、コーヒーの粉また専門店に買いに行かないと

「おい」
『ん?』

肩を抱き寄せられた
その側を子どもが走り抜けた
あ、あぶねぇ…

『ありがとー』
「ああいうのは前を見んからの、気いつけにゃ」
『ん』

買い物を済ませ歩いていると電気屋のテレビに音楽家ふたりが映っていた
いつも窓から聴こえる演奏がテレビから聴こえて少し嬉しかった
頑張っているなぁ

『暑くなる前に帰ろうか』
「おん」

と、緊急速報が入った
思わず視線がそちらに行く

「本日、運動会中に猪が運動場に乱入し近くにいた男性ふたりが猪を仕留め…

テレビには先生ともうひとりの男性が猪を前にピースしていた

『何しとん!!』
「ほぉ〜、猪を仕留められるんか」
『多分魔眼使ったね。見た目が綺麗過ぎる』

心臓か脳か
魔眼を使えば生きたままでも破壊できる
まあ帰ってきたら話を聞けるだろう

『まさか捌いて送ってくるとか無いよな…』
「あいつじゃったらあり得るぜよ…」

テレビでは先生と男性が「今日はボタン鍋でーす、由行見てる〜?」と言っていたが見なかったことにした
翌日「思ってたよりボタン美味しくなかったから写真だけ」とLINEで写真が送られてきた
先生と写った男性の目はテレビでは黒だったが写真では金色で「お前も魔眼かよ!」と突っ込んでしまった

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