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13話

「邪魔するよー!」

探偵事務所のドアが乱暴に開いた

「サリエリがお裾分けに行って…こいって…」
「アマデウス!何をして…」

サリエリが息を飲んだ
来客用のローテーブルから足が覗いている
殺人事件でよくあるアレだがサリエリがすぐに駆け出し足の主を抱き起こした

「イゾー!由行がソファーから落ちているぞ!」
「わかっちょる!」

バタバタと給湯室から以蔵が飛び出してきた

「湯が沸いたき離れたんじゃ。すまんのぅ」
「本当に動かないのだな」
「見ろよサリエリ!マジで動かないww」
「アマデウスゥウ!」

アマデウスが楽しそうに由行を操り人形のように動かしていた
それをサリエリがひったくるように奪うと再びソファーに寝かせた

「もうすぐ起きるき、助かった」
「前回やらかしたからな…」

前回、初めてサリエリ達が充電中の由行を見て悲鳴をあげ脈を計ったりと触っていた時に由行が起きて悲鳴をあげたのだ
だからすぐにソファーに戻した



『…んん…』
「おはようさん」
『うん…』

完全に電池切れてた…
起きるとお隣の家に住む音楽家ふたりが来ていた

『あ、サリエリさんとアマデウスさんいらっしゃい』
「おはよう、お寝坊さん」
『えへへ』
「僕より遅いとか相当アレだね!」
『これが稀代の音楽家とか…世も末だ』
「そうだな、アマデウスは世界の最期の時の音楽を奏でるために生まれたのかもしれん…」
『はいはいアマデウス過激派』

以蔵さんがコーヒーを人数分出した
寝起きにこれはありがたい

『そう言えばおふたりともどうしました?』
「ああ、お裾分けに来たのだった」

コーヒーに溶けきらないほどの砂糖を入れているサリエリがテーブルに置いていた紙袋を差し出した

「また公演でふたりとも食べられないから貰い物で悪いのだが」
『こっ…これは…お中元!!』
「僕達ふたりとも音楽家だから一杯貰えても食べきる前に次の公演で出掛けちゃうんだよ」
「だから貰ってもらえるとありがたい」
『ありがとうございます〜』
「こちらこそ毎度ありがとう」

食べきれない量のスイカや夏野菜はふたりにお裾分けしている
サリエリさんが料理してくれるそうなので安心である

「ではまた」
「また来るね〜」
『ありがと〜』

音楽家ふたりを見送りお中元を開封

『テレビでやってるおいしいゼリー!』
「びーるか」
『…重いのにサリエリ先生片腕で持ってた…』

音楽家ホラーである



アマデウス
天才ピアニスト
変人であるため理解者が居なかったがサリエリと出会えたため孤独ではなくなった
探偵事務所の近くの家に住んでおり、よくサリエリと連弾しているのが聴こえる

サリエリ
ピアニスト
元アマデウスのプチストーカー?(演奏に惚れ込んで演奏会に通ったり誉めちぎる手紙を書いて出したりパトロンになったり)だったが事故にあい髪の毛がグレーに、瞳が赤になってしまい、「いつ死ぬのか分からないなら自由に生きる!!」とストーカー性もちょっと過激に(ほぼ押し掛け女房)
私生活がクソで孤独だったアマデウスもサリエリが気に入って同居した

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