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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -




11話(寝不足少年と自撮り少女と時々祖父:前編)

一条心霊探偵事務所のドアがぶち破られんばかりの勢いで開けられた

「人を探してくれ!!」
『はぁあ!?』



いきなり乱入してきた依頼人、名前はカドック
友人とお出かけしていたがいつの間にかはぐれてしまったらしい

『スマホあるでしょ、ラインとかしなよ。うち「心霊探偵事務所」ですよ』
「だからなんだ…!」

慌てていて滅茶苦茶な話を聞いていると
・アナスタシアは美女
・彼女は家に携帯を置いてきてしまった
・彼女は精霊使いで「ヴィイ」という精霊と一緒に居るはず(だから心霊探偵事務所なら探せそうだと)
・自撮りしていてはぐれたのかもしれない
・早く探さないと!

『喧しい!スイカ喰ってろ!』
「荒れちょるなぁ…」

カドックの前にブロックカットのスイカを山積みにして置いた

『探してやるから!何か彼女に縁(ゆかり)のあるもん出せ!』
「っ…」
『早く!!』
「…これだ」

差し出されたのはブレスレット
ひったくるように掴んで魔眼で見つめて縁を辿る

お寺
人形
自撮り

見付けた

『見付けた!今から迎えに行ってくる!』
「おお」
「っ僕も行く!彼女は人嫌いだから僕が迎えに行く!!」

ふたりが事務所を飛びだした
以蔵さんが煙草を咥えると裏口のドアを開けた

「さて、ふたりも居なくなった。イヴァン爺さん、何故こんなことをした?」

裏口には象のように大きく威圧感のある男が立っていた

「…我は、孫娘に何もできぬ。父にも、母にもなれなかった。人嫌いになった孫娘があの男を友人として連れてきても、信じられなかった」
「ああ、知っちょる」
「だか、あの姿を見てようやく信用できた」

たまたま会った時、事故で家族を失った孫娘に何をしてあげられるかと悩んでいたから、うちは探偵事務所であり「依頼」としてなら何でも受けよう、と
だから今回「あの男が孫娘とはぐれた時どうするか見せてほしい」という「依頼」を受けたのだ
…由行には秘密ではあったが

探偵事務所の電話が鳴る

「はいこちら一条心れ「所長が倒れた!!」おん」

話を聞いていると「アナスタシアを見付けて合流する直前にいきなり崩れ落ちるように倒れた」と

「すまんが迎えに行くき、どうするが?」
「余は帰ろう」
「そうか」

イヴァンと事務所を出てすぐに迎えに行った


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