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6話(理想郷:3)

「ただーいま」
「おう、戻ったか」
『おかえりなさーい』
「はい、お土産」
『わーい!シュークリーム!』
「こっちはもう情報を纏めたち、目エ通してくれ」
「了解」

すぐに書類に目を通すと先生が聞いてきた情報を言った

「『マーリン』と呼ばれた子の正体は『親に虐待されていた女子』だったよ。親友の子が教えてくれた」
『やっぱり、女子だったんですね』
「話にゃ聞いちょったが、元凶は女か」
「対処法は多分分かった。変質しているから難しいけれどやってみよう」
「わしはどうすればいいんじゃ?幽霊であるわしは眠らんぞ」
「じゃあ由行の手を握っていて。縁を繋ぐ由行なら夢の中へも連れていけると思う」
「おん」

ネットから魔方陣をダウンロードし印刷
ネットにある呪文を詠唱し魔方陣の描かれた紙を枕の下に入れた

「それじゃ、夢の中で」
『おやすみなさーい』

眼鏡を外して布団に転がる
事務所兼自宅で良かった〜


目を開けるとそこは花が咲き誇る美しい場所だった
手を握る感触に気付いてそちらを見ると以蔵さんもしっかりと来ていた

『良かった、以蔵さん来てる』
「おまんが寝た後に引きずられてのぅ」
「僕もいるよー」

先生も来たらしく、すぐ近くで手を振っていた

「無事3人で来られて良かった」
『僕まだ完全な対処法知らないんで詰むかと思いましたよw』
「おい、お出ましのようじゃ」

以蔵さんが一歩前に出て僕を背中に庇った
すいませんね戦闘力皆無で

少し離れた場所で風が渦巻く
それを睨んでいたがすぐに霧散して男が現れた
にっこりと笑っているが分かる
中身はどろっどろの笑顔だ

「ようこそ、理想郷へ」
「…」

以蔵さんが構える
一歩こちらに向かって歩くたび足元の花が枯れていく
多くの願いにより汚染された「救世主」はその存在自体が危険になっている

「何故拒む?」
「君はもう化け物だ、人を不幸にしてしまう以上放置はできない」
「そうか…」

一気に周りが暗くなる
肌に刺さるようなこれは殺気だ

「おい、絶対にわしの側から離れるな」
『う、うん』

男が溶ける
世界が、変わっていく
ああ嫌だ
見たくない、嫌だ

「あんたは私の子じゃない。子どもはこの子だけ」

母が弟の肩を抱き寄せる
弟はニヤニヤと笑っていた
父はこちらを見ない

「他人なんだからさっさと出ていけよ。出ーてーけ!出ーてーけ!!」

この中に味方は居ない
心が死んでいく感覚

「こっちにおいで。君を受け入れる準備はできているよ」

手がこちらに差し出されている
後ろではまた怒鳴っている
手を伸ばす

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