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とある人斬りの過去

ここは牢獄
罪を犯した魂はここに閉じ込められる
もう何百年もここにいる

「せんせ〜?先生どこ〜?」

子どもの声がした
「先生」とやらを呼ぶ声に心細さが滲み出ている

「せんせー!せんせうわぁああああ!?」

悲鳴と犬の声
助けを求めている声に被さるような犬の仲間を呼ぶ遠吠えと唸り声
ここに囚われた生き物は変質する
あんなものに捕まったのが運の尽きだったのだ

「せんせぇ!せんせえ!ぜんぜぇええ!!!!」

ゴフッと聞こえた
喉を噛まれたのか声が小さくなる

「せんせ…せんせぇ…たすけて…」

まるで自分だと思った


刀を持って向かうと喉を喰いちぎろうとする犬や腕や足を噛み砕こうとする犬に集られている少年が転がっていた
叫ぶ気力も無いのか涙を流しながらヒューヒューと浅い息をしていた

「死にさらせェ!!」

犬達の首を掻っ切っていく
犬も吠えて襲い掛かってきたが難なく切り捨てた
最初は子どもを奪われまいと何匹かが引き摺っていこうとしていたが全て切り捨てた



「こんなもんじゃろ」

転がる犬の死体の山を蹴飛ばし少年を抱き起こす
犬に食い散らかされたせいか「噛まれた」という呪いに侵され先程よりも虫の息になっていた

「さぁてどうすっか」
「由行!」

刀を持った男がこちらに駆け付けてくるといきなりこちらにそれを投げつけた
咄嗟に離れて下がる

「なんじゃあ!?」

刀が地面に刺さると少年の側に結界が張られた

「由行に何をした!」
「わしは何もしちょらん!おまんこそ何をしちょった!」
「この子とはぐれたんだ!」

怒鳴りながらも呪いを解除するための札を少年に貼り付けていく

「くそっ…要になるものがない…!僕の目じゃ…」
「何じゃ。はよう助けてやらんか」
「…そうか」

刀を引き抜くとこちらに向かって突き付けた

「貴方をこの子の要石にする」
「はぁ!?」
「詳しい説明は後。先にこの子を助ける」

そう言って一度目を閉じて開くと黒い瞳が真っ赤に変わっていた

「能力全解除!」

目が光った瞬間に全てが変わった
牢獄の結界が砕け落ちていく
自分の手足に着いていた枷も砕けて落ちた

「よし。まずはこれでいい」
「おまん…何者じゃ」
「ただの『先生』ですよ」

再び黒い瞳に戻ると刀で何か描いた
そして中心に少年を寝かせて側に刀を刺した

「お兄さんこっち来て。痛くはしないから」
「わしに何をする気じゃ」
「ちょっと縁を結ぶだけ」

そう言って何か唱えると何かが繋がる感覚がした

「とりあえず今はこれで」
「何じゃあこれは」
「この子と君を仮契約してこの世に引き留めた」
「ほうか。じゃがわしはここから「結界全部ぶっ壊したから自由だ」

刀を戻すと少年を抱えて歩き出す

「この子が回復するまでだから。回復したら契約を切るし大体は自由だから」
「…ああ」

3人で牢獄を出た
久々に浴びた日の光はとても眩しくて



ぞーさん、いぞーさん』
「んぁ?」
『おはよ』
「おはようさん」

懐かしいものを見た
結局、回復しても契約は切らずに「要石」としての役割から「教育係」に変更して今も続いている

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