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5話(理想郷:2)

「ちょっとここに行ってくるからふたりはそっちに行って」と先生はメモを託してどこかに行ってしまった

「あいつはやっぱり自由じゃのぉ」
『先生だし』

やって来たのは中学校
あの「おまじない」を「被害者」ではなく「行った報告」で辿ると違う報告が上がっていた
その報告の古いものはひとつの学校に集中していた

『ていうか、こんな僕らが中学生に声掛けるって不審者じゃない?』
「まあなぁ」

以蔵さんはスーツにベスト
僕もスーツで眼鏡着用
仕事だからとはいえ怪しい

『一応先生にお話してもらってるから大丈夫、な、はず』
「ねえ君達ここで何してるの?」
『職質されてる!』
「わしらは探偵事務所のもんじゃ。ここの学生に用があってのぅ」
「身分証明できるものは?」
『えっと、はい』

学生証を差し出し、同時に名刺も差し出した

「ああ!一条さんとこの!」
『知ってるんですか?』
「知ってる。有名だからね、お仕事頑張って」
『はい』

さっさとパトカーに乗り去っていった

『あっけなかった…』
「おまんの先生は顔が広いのぅ」
『まあ良かった』

学校に入り先生方にも挨拶して教室に入った

『あの、お邪魔します…』
「邪魔します」

教室に居た子ども達が(´・ω・`)???という顔から(*°∀°*)という顔に変わる
いきなりスーツ姿の二人組が来たらびっくりするのは分かるがワクテカ顔は予想外だった

「先生達からお話は聞いてます!何でもどうぞ!」
『ありがとー!』

以蔵さんは主に男子学生が、僕は主に女子学生が集まってくれてレコーダー起動させて話を聞いた

「『マーリン』のお話だよね!?」
「最初はあんなのじゃなかったの!」
「私もやってたけど本当にいい夢だった!」

異口同音とはまさにこのこと
「マーリン」を語る皆の姿はまるで冤罪の被害者を庇うようだった

『ありがとー!聞きたいことが聞けたからとても助かりました!』
「もう帰っちゃうの?」
「また来る?」
「また縁があったらな」
『では失礼しまーす』

窓を開け窓枠に腰掛ける
ここは1年生の教室なので3階
ポカーンとした顔をしている中学生達に微笑み

『では諸君!お礼に面白いものを見せてあげよう!』
「やっちゃるか?」
『着地頼んだ。では、さらばだ!』

ふたりで窓から飛び降りた

「きゃああああ!」
「わあぁあああ!」

窓から身を乗り出した学生達の悲鳴が響く
しかし地面に着地する前に以蔵さんに横抱きにされて着地した
流石契約霊、全く衝撃等無かった

『はいっ!』
「お邪魔しましたー」
「すげー!」
「やっべぇえ!」
『真似すんなよー!』

そう告げて学校を後にした
学校の先生には「窓を飛び降りてはいけません」と怒られたが


『でもこんなに情報が集まるなんてびっくりした…』
「子どもの噂なら情報を持つのは子どもじゃ」
『それでも凄いよ』

ICレコーダーの中身を纏めて文章にすべく一旦事務所に帰ることにした
印象的だったのは「ずっと前にマーリンに会った子」が言った







「マーリンはイケメンな男性ではなく少女である」
「いじめや虐待についての話を聞いてくれる」

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