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すき、愛してる



「先生いつになったら私の気持ちに気付いてくれる?」

「…………はぁ?」


ここは高校の図書室。身を乗り出してカウンター越しに生徒は睨んでくる。

ここで俺が思う事は「私の気持ち」とはなんの事だ。


#奏は毎週木曜日の放課後に本を借りに来るだけの生徒。俺が彼女の授業を受け持ってるわけでもない。
というか図書館以外で会ったこともない。

会話という会話をした記憶もない。
「これ借ります」「はい」ピッ「返却は2週間後」「分かりました」
ぐらいしかした事がない。


気持ちとはなんだ。新しい本を仕入れてくれという希望か?それともなにか悩みがあるとか……。全然分からん。

誰も居なくなり静かになった図書館に響く大きなため息。
誰か俺に答えを…………。


「ヒントは''本''ね」


ヒントはもう少し分かりやすくても良いんじゃないか?

椅子に座ったまま両手を伸ばしカウンターにうなだれる。

視界に映るのは#奏の図書貸出履歴。


『すっぱい葡萄』

『杞憂』

『嵐が丘』

『イギリスはおいしい』

『死の雑学』

『手錠』

『るろうに剣心』


「あいつって色んなジャンルの本読むんだな……」


すっぱい葡萄は有名だし、嵐が丘は名前だけ聞いたことがある。
るろうに剣心は女子が楽しそうに語っているのを見たくらいか。



ジャンルに縛られない文学少女は何を伝えたいのか。

俺には全然分かりそうにない。










*****
書いておいて、実際私が読んだことがあるのは『嵐が丘』と『イギリスはおいしい』だけっていうね。
嵐が丘はネリーが地味に好きです。
『杞憂』はお父さんの部屋の本棚に並んでるのを見て、あとは調べました。

正解はタイトルで。


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