童話パロディ・赤ずきん


むかしむかしあるところに
赤頭巾ちゃんがおりました。

「ローラン、ちょっといいかな。これをラッジのところへ届けてくれるかい?」

お母さんから、おばあさんの元へおつかいをたのまれました。

「まあ、うん、アランだし、うん」

「なに俺だしって…まあいいや、気をつけるんだぞ」
「はいはい。イッテキマース。」

週に1回、赤頭巾ちゃんは森の奥のおばあさんのところへ
お菓子?とかワイン…?なんかを届けに行っているのです。

「わざわざ届けなきゃいけないほど森の奥に住むなよ面倒臭い。」

ぶつぶつと文句をいいながら、森の中を進んで行く赤頭巾。
お花畑の前を通ります。
母親から「狼が出るから寄り道をしてはいけないよ。」
と言われています。
しかし寄り道なんてもとよりする気のない赤頭巾ちゃんは、
一面の花畑には目もくれず、おばあさんの家を目指します。
狼に出くわしたことはまだ一度もないそうです。

「ここでは、だけどな…」

花畑からしばらくてくてく歩いたら、もうおばあさん家はすぐそこです。

「いいじゃないか、何をそんなに遠慮しているんだい?」
「そうじゃなくて…」

中から声が聞こえます。
軽いノックをして、返事が返ってくるより先にドアを開けると

「ちょっと待てピエール、もうすぐローランが来…あ」

「ばーさん、戸じまりはしっかりな」

「違っ…」

「ていうかピエールもさ、電気消すとかして留守装えよ」

「おや?これはすまないね。君が来るとはいざ知らず。」

おばあさんが狼に食べられていました。

「じゃ、これいつものお使いだから。ガンバレ。」

さっさと要件をすますと、おばあさんに声援を送り
これまたささっと踵を返します。

「ちょ、ローラン!待っ………!」

狼の嬉しそうな声と、おばあさんの悲鳴を尻目に
きた道をサクサクと戻ってゆく赤頭巾。

「はぁーい!そこのまどもあぜぇーる?」

おや?猟師さんの登場です。

「ナニソレ」
「んー、いっそ出オチキャラでも狙おうかと☆」
「意味わかんねえ」
「結構結構。んで、赤頭巾ちゃんは、狼には襲われなかった?」
「狼ならばーさん襲ってたけど。」
「そ、ならよかった。」

よくはないでしょうに。

「まあいいじゃん、んでローラン、これから暇?」
「まあ、暇だけど」
「そっか、んじゃこれから私とデートしよう!」
「え、なんで…、おい、ジュリアン!放せ!」

おやおや。赤頭巾が猟師に連れて行かれてしまいました。
どうやら猟師は、狼ではなく赤頭巾ちゃんを狙っていたようですね。
…まあ、いいか。それじゃあここでお開きです。めでたしめでたし。

「待ってねえ遅くなるならお母さんに連絡入れよう?
めでたくないよ?ねえ?」

めでたしめでたし。

―終―



2011.3.24

ローラン赤頭巾、アランママ、
狼ピエール、ラッジグランマ
猟師ジュリアン。天の声は適当に。
演劇をしているのだとでも思って読んでいただけると幸いです。

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