※丸井視点。



立海の中学、高校、大学を卒業して、今年で二年が経った。大学はそれぞれの夢に向かって違う奴も何人かいたけれど、変わらず、時々集まってはテニスをしたり飲んだりしていた。でも、大学を卒業してからは仕事に追われる日々で、数人と会うことがあっても全員集まることなんてなかった。
そして今日、二年振りに幸村君の家に全員が集まることになっている。


「あいつら元気にしてるかな」


教えてもらった住所には、綺麗でお洒落な今時のマンション。なんか幸村君らしいな、なんて思っていたら、俺の前に仁王がいた。


「よっ、久しぶりだな」

「…もしかして、ブンちゃんか?二年振りじゃの。一瞬、誰かわからんかったぜよ」

「お前もな。銀髪が黒になってるなんて思わなかったぜ」

「それを言うならブンちゃんもじゃろ」


就職活動の時に赤かった髪を黒く染めた。仁王も二年会わないうちに、あの派手だった銀髪を黒く染めていて、なんか時間の流れを感じた。


「幸村達に会うのも二年振りじゃの」

「俺は一年振りかな」


仁王がインターホンを押したら、昔と変わらない幸村君の声がした。後ろから先に来ていたのか、赤也の騒ぐ声とそれを叱る真田の馬鹿でかい声が聞こえる。相変わらずだな。少し待っていると、音と一緒に出て来たのは何故かジャッカル。


「二人共、遅かったな」

「何でジャッカルが出るんだよぃ」

「幸村に出ろって言われたんだよ」

「相変わらずじゃな」

「まあな。それより入れよ。もう皆来て、待ってるぜ」


外見もそうだったけれど、やっぱり家の中も幸村君らしい、シンプルでいて綺麗な感じだった。リビングに入れば、ジャッカルの言う通り、既に皆集まってテーブルを囲んでいる。


「やっと来たか」

「二人共久しぶりだね。まあ、座ってよ」

「うわっ、先輩達の髪黒っ」

「うるせーよぃ。赤也は相変わらずモジャモジャだな」

「モジャモジャは余計ッスよ!」


幸村君の笑顔は相変わらずだな、とか。真田は相変わらずいつの時代の奴だよって口調で、柳は未だにどこからかノートを取り出してデータを取るし。赤也も仁王も柳生もジャッカルも、皆何一つ変わっていない。


「そういや、なまえは来ないんか?」

「さっきメールがあったから、そろそろだと思うよ。ほら、帰って来た」


帰って来たって言う幸村君のニュアンス。それって、あいつがここに住んでるみたいじゃね?もしかしてな、なんて思っていたら、ただいまー、って言う声。バタバタと騒がしく走って来るのは、やっぱり昔と変わんねぇんだな。


「うわぁ、皆久しぶり!」

「久しぶりだな」

「…ブン太?隣はもしかして仁王、だよね?えっ、あの派手だった紅白の髪はどこにいったの!?もしかして、それカツラ?」

「地毛に決まってるじゃろ」

「就活の時、黒に染めただけだよぃ」

「なーんだ。それにしても、二人以外は外見とか全然変わってないね」

「なまえさんは綺麗になりましたね」

「あははっ、ありがとう」


柳生の言う通り、なまえは見ない間にすっげえ綺麗になったと思う。昔より色気が出てる、って言ったら殴られそうだけど、やっぱりここでも時の流れを感じる。


「柳生、人の彼女を口説かないでくれない?」

「すみません…」

「彼女って、まだ続いてたんか」

「当たり前だろう?俺がなまえと別れるわけないじゃないか」

「あの時からずっとってことは、八年も?」

「うん」


中学からマネージャーをしていたなまえに幸村君が告白したのは高校一年の時。今でも皆で祝ったあの時のことを覚えている。


「あっ、そうだった。皆に報告することがあったんだよ」

「なんだ?」

「実はね、俺達、二ヶ月後に結婚することにしたんだ」

「えっ、前のドッキリとかじゃなくて?マジでかよぃ?」

「マジだよ。数日前に婚姻届出して来たんだよね、精市」

「うん。高校の時にしたドッキリとかじゃないからね」


高校卒業する時にこういうドッキリが一度あった。あの時は、真田が学生で結婚なんか許さん!って父親みたいなことを言って、幸村君となまえがお腹抱えて笑ってたんだっけ。
それにしても、大学卒業してからいつ結婚するのかなとは思っていたけどさ。ここに来てやっとかよ。


「幸せになれよ」

「ありがと、ブン太」


二人が幸せそうに笑っていて、皆で笑い合っている光景はあの頃に戻ったみたいだった。











◎企画に書いていたけれど、誰の夢かわからなくなったからボツ。




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