私が歩けばトコトコと後ろからついて来て、私がソファーに座れば隣にピッタリとくっついて座る。
「…もう可愛いっ!」
「お前、それ言うの今日で何回目だよ」
「だって可愛いんだよ!」
「あー、はいはい」
あれからボールに入りたがらないブースターは、私の後ろをついて回っている。さすがに、ピジョットに乗るときはボールに入ってもらったけれど。それ以外はずっとこの状態。まあ、懐かれて嫌なんて人はいないよね。私なんてもう嬉しすぎて。
「えへへ」
「嬉しいのは分かったから、早くそれを読もうか」
「はーい」
グリーンに言われて、タマムシシティに行った時に買ってもらった“トレーナー入門編”という本を読み出す。この本はバトルのことは勿論、ポケモンの育成に相性、基礎的なことが全て書かれていた。道具のページには、役に立つ道具や技マシンが載っている。お金貯めたら技マシン買って、ブースターに覚えさせよう。欲しいものに目星をつけて本を閉じた。
「グリーン、読んだよ」
「分かったか?」
「大体はね。それでね、グリーンのポケモン図鑑を見せて欲しいです」
私が本を読んでいる間、隣でグリーンがずっといじっていたポケモン図鑑。ポケモンを覚えたかったから言ってみたけれど、グリーンの大切な物っぽい、よね。
「ん、ほら」
「えっ…、いいの?」
「お前が見たいって言ったんだろ。あ、使い方はこうだからな」
「…ありがとう」
「どういたしまして」
貸してもらった図鑑を開き、ポケモンを見ていく。最初の方は、見ていくうちに段々と思い出したけれど、そのあとからは全く知らないポケモンばかりだった。ブースターの所は全部読んだし、覚えている技も分かった。それにしても、覚えている技が多いなあ。タイプの違う技が多いから、多分前のトレーナーが覚えさせたんだろう。買おうと思っていた技マシンも既に覚えていた。結局、私がこの子に出来ることは、自分の力を出せるように指示をすることだけになった。
「はい、ありがとう」
「もういいのかよ」
「名前と姿とタイプは。でも細かいことは覚えれないから、また借りるかも」
「いいぜ。そんじゃあ、明日は一度バトルをしてみるか。でも、その前にトキワのポケセンに行ってトレーナーカードを発行しなきゃな」
「お願いします」
「おう、任せとけって」
ブースターにもよろしくね、と頭を撫でれば、返事をするようにグルルと喉を鳴らした。
一歩を踏み出す
この子と一緒なら、大丈夫