次に目を覚ますと外は真っ暗だった。泣き疲れて寝てしまうなんて何年ぶりだろう。起き上がると、泣き過ぎて頭がガンガンする。火影様は違う部屋に行ったのかな。周りを見渡しても、暗くて何も見えない。私が泣いている間、ずっと抱きしめてくれていた火影様。火影様は漫画を見ていた時も思ったけれど、懐が深いと言うか。とにかくおじいちゃんみたいで温かい人だった。
って、あの時は気が動転していて気がつかなかったけれど、改めて考えたら私ってNARUTOの世界に転生してきちゃったんだよ、ね…。まだ三代目が生きているってことは漫画の始めの方か、それより前になるのか。色々と確かめないといけないことも多い。


「ユキ、」

「……セツ」


座ったまま考え込んでいたら、暗闇からセツの声。まだ目が暗闇に慣れていないから、声を頼りに手探りで探していたら、セツが私の膝に乗ってきた。やっぱりセツがいると安心するなあ。


「まだ夜中だ。もう少し寝ろ」

「でも、目が冴えちゃった。…ね、私の家のことを聞かせてくれない?」

「はぁ…。お前は一度言い出すと言うこと聞かないからな。話終えたら寝ろよ」

「うん」


セツが話してくれたのは、書庫にあった歴史書にも書いていたこと。氷野一族は代々続く氷遁を使う名門の一族で、一族に守護獣がいるという珍しい一族らしい。そして、その守護獣がセツで、私が生まれるまでは氷狼という名で呼ばれていたことを教えてくれた。確かにそんなことが歴史書に書いていたのは覚えているけれど、迷信か何かかなってずっと思っていた。


「そっか…。あの歴史書に書かれていたことは、迷信とかじゃなかったんだ…」

「話はこれだけだ。分かったら早く寝ろ。隣で寝てやるから」

「うん…、ありがとう」


セツに言われて目を閉じるが、これからのことを考えると寝付けない。今まで木ノ葉の里じゃなかったにしろ、何で私は気づかなかったんだろ。今振り返ると、じい様にさせられていた修業とか巻物とか、分かる要素が沢山あったはずなのに。早く気がついて忍術を修業していたら、何か変わっていたんじゃないのかなって思うと、自分が情けなくなる。でも、今更悔やんだって元に戻るわけでもない。…よし、決めた。お母さん達が私を守ってくれたように、私も大切な人は自分の手で守ろう。そのために、私は強くなろう。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -