これが私の家?嘘でしょ?火が燃える音、クナイが交わる金属独特の音。人の叫び声。これは夢なんじゃないのかなって思うぐらい、現実離れしたことが私の目の前で起きていた。
「嘘…」
「ユキ!良かった、無事で…」
「お母さん!何があったの?!」
「…ユキ、時間がないの。だから、お母さんが今から言うことをよく聞きなさい。貴女は今からセツに乗って、木ノ葉の里にいる火影様の所に行くのよ。分かったわね?」
「えっ、待って。お母さん達は…?」
「お母さん達は敵を引き付けておくわ。…だから、ここまでよ」
「や、やだよ!お母さん達も一緒に…」
「貴女だけでも生き延びて。火影様ならきっと貴女を助けてくれるわ。……セツ、ユキをお願いします」
「…ああ」
「うぅっ…」
「ユキ、私達の所に生まれて来てくれてありがとう。私もお父さんもおじい様も貴女のことが大好きよ」
「お、母さん…」
「…セツ、行って下さい!」
お母さんの合図でセツが私を乗せて走り出す。後ろを振り向けば、お母さんがクナイを持って髪の長い人へ切り掛かって行くところだっった。……髪の長い人?何処かで見たことがある気がする。もう一度よく見る。やっぱり何処かで見たことがあると思ったその顔は、NARUTOに出て来る大蛇丸そっくりだった。嘘だ、と思っていると、大蛇丸と目が合う。私を見て、にやりと不気味に笑うその顔に全身の鳥肌が立つ。その後、お母さんが倒れていく姿が、やけにスローモーションに見えた。
セツにしがみつきながら意識を飛ばしてしまった私は、目を覚ますとベッドの上だった。
「こ、こは…?」
「木ノ葉の里じゃよ」
「もしかして、火影、様?」
「うむ」
「じゃあ、あれは夢、なんかじゃなかったんだ……」
私の悪い夢だったらよかったのに…。
その日、多分生まれて来た時以来流がしたことがなかった涙が止まらなかった。